第301話 ルコサ先生吐きちらかす
「あんた......ルコサ先生?なにしてるんですか?」
「ん?あれ?なんで二人とも上半身裸なんだ!?あと君達今なんか変わった?」
ルコサが女子トイレに入ってきた瞬間。
その場の吸血鬼達は一瞬で人間の姿に戻り、倒れていた男の子は変身した男の子と一緒に個室トイレに居たので扉を閉めて隠した。
まさに早業だ。
肝心なルコサは頭痛と吐き気で下を向きながらなにも考えず入ってきたのでその瞬間を見ていなかったのだ。
「そんなわけないでしょ?それより、ルコサ先生?ここ、女子トイレなんですけど......」
すひまるもコクコクと首を縦にふって肯定。
だがルコサは
「す、すまん、変態でも何でもいい、と言うか僕は下着フェチでパンティとか好きだから元々変態だ......だが今は......オエ......男子トイレの大が全部閉まってたんだよ!のいてのいて!吐いちゃう!」
「あ!そっちは!」
フラフラとすひまると女リーダーを退けながら。
ユキの居る個室トイレの扉を開けた。
「ひ、ひ!」
「?、あぁ、今日来る予定だった子供達の一人か......ちょっとごめんね」
明かに異常な状態のユキを無視して
「見、見ないでね、もう......無理オロロロロロロロロロロロロロ......」
思いっきりトイレに顔を突っ込みルコサは吐いた。
吐く。
胃の中の全て無くなるくらいまで吐く。
普通見れば見たくない光景で聞きたくもないビチャビチャという音。
しかし、それが逆にユキの恐怖心を和らげ、正気を取り戻していった。
「ちょっと楽になった.....まだ少し頭痛がするけど」
流すボタンを押してトイレを流すルコサを正気に戻ったユキがその白いルコサ服を手で引っ張る。
「た、助けてくださいです!」
「??、どうした?」
しかし、女リーダーも流石に黙っていない。
ルコサの終わったタイミングを見計らっていて
「ルコサ先生、その子、どうやら迷ってここに来たみたいなの、私が連れていくから先生はいつもみたいに保健室にでも......」
「うそです!ユキを......ユキを助けて......お願い......」
「わかったわかった!わかったから泣きそうになるんじゃないよめんどくさい!ん......ユキ?」
「は、はいです......ユキです」
「なるほど......」
ルコサは立ち上がり腰が抜けているユキをお姫様だっこする。
「ルコサ先生?」
「悪いけど、この子は先生である俺が届けるよ」
「......」
「......」
すひまると女リーダーは黙る。
これ以上引き留めるとなぜそこまで本気にしているのか聞かれたらアウトだ。
なので仕方なく女リーダーは......ルコサを後から突き刺し排除することにした。
「じゃ!」
ユキをお姫様だっこして女子トイレを出ていこうとみんなに背中を向けたとき女リーダーは隠して生やした尻尾で刺そうとする。
だが......相手が悪かった。
「やめといた方がいい」
女リーダーは尻尾を引っ込める。
「何を、ですか?ルコサ先生」
「今回の件は個人的に女子トイレに入ってしまった罪悪感とゲロ吐いてたのを見せてしまった謝罪の意と君達の素敵な下着姿を見たことも色々含めて【この子】以外は見逃してやるよ、めんどくさいし」
女リーダーは「見逃してやる」と聞いて冷や汗をかく......ここで計画がバレれば今までの少しずつしてきたことが台無しになるからだ。
なので
「だから、何をですか?一人言が大きいですよ」
「舐めすぎだ、お前達の今目の前に居るのは......」
ルコサはゆっくりと女リーダーとすひまるに振り向き。
「【神の使徒】だ。」
その、笑顔は【神の使徒】とは思えないくらい悪い笑顔だった。
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