第300話 ユキちゃん絶体絶命

 「あら、かわいい」


 女はユキの姿を見てニッコリする。

 ......子供というのは恐怖を感じると何倍にも増幅させて見てしまうもので、ユキから見る目の前の女吸血鬼は口が裂けて恐怖の笑みを見せられてるようだった。


 「ひ、ひぃ......」


 ユキの顔はみるみると青ざめていき冷や汗がでる。


 「ねぇあなた。どこから聞いてたの?」


 「な、何もわからなかったです......」


 「ふーん、何も「解らなかった」ね、じゃぁ聞いてたのね?」


 「あ......」


 「ほんと、可愛いわね、人間の子供って。」


 「あ、あぅあぅ......」


 「人間の子供って、まだ血が濁ってないから美味しいのよね、舐めるとサラサラした舌触りからゆっくりと舌にとろけて甘い......興奮してきちゃった!」


 「ユ、ユキは美味しくないです......」


 ユキの頬をスーッと女吸血鬼の針が通りユキの頬から血を出す。


 そして......


 「レロん」


 これはユキの恐怖からではなく実際に舌が伸びて頬を伝っていた血を舐めとった......すると。


 「っ!?!?!?ぐ、ぐぐぐ......あぁぁあ!」


 「......?」


 女吸血鬼はユキの血を舐めると長い舌を出して苦しみトイレの洗面台で自分の舌を水で洗い出した。


 「ど、どうしたのですか!幹部様」


 先ほど人間に化けたばかりの男の子がそれを見てかけよるが


 「うるさい!見るな!」


 片手でドンッと男の子は押され尻餅をついた。


 「あついあついあつい!」


 舌を乱暴に洗っていく女吸血鬼はしばらくしてユキの血が取れたのか落ち着きを取り戻した。


 「はぁはぁ..................殺す」


 「!?」


 ふらふらと立ち上がりユキに近付く女吸血鬼の目は本気だった。

 

 「ごめんなさいです!ごめんなさい......ゆるして......ふぇ......ヒッ」


 ユキは恐すぎてもう顔をくしゃくしゃになりながら泣き出した。

 泣きながら腰を抜かした状態で小さなおしりをずりずりと動かして後ろになんとか下がるが壁に背中が当たる。


 「うええぇえぇん......だれか!誰か助けてです......恐い恐い恐い恐い」


 「あんたみたいな訳のわからない人間!早めに殺しておいて損はないわ!」

 

 「おかぁさん!!!」


 そして、女吸血鬼の尻尾が振り下ろされる瞬間......









 「うぇー......頭いたい、吐きそう......」










 来たのはお母さんではなく。

 だらしないルコサ先生でした。











 「え?何?どういう状況?」



 



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