第282話 ルコサ先生

 空は曇り空、雨でもふってくるんじゃないかと思うくらいの曇り空。

 そんな中俺達は......! 


 「遅刻遅刻するぅ!」


 「のじゃぁー!」


 二人でパンをくわえて、いつもの通学路をでかい胸を二人で揺らしながら走っていた。

 魔法をいくらか使えるようになってかなり早く走れてる......といっても自転車程度しか町では出しちゃいけない決まりがあるので制限されてるが。


 どうしてこうなってるかって?

 ............簡潔に言うと二日酔いが影響してる......

 魔法目覚ましが俺の二日酔いの頭痛によって脳の何かが狂ってたのだ、それにより起きれなかった......と、思う、それしか心当たりがない!


 「のじゃ!のじゃ!」


 隣で走ってるルカは単純に俺を頼りに起きていたらしいので一緒に遅刻しそうになってる。

 

 「一時間目まで残り10分!いそげいそげぇ!」


 「のじゃぁあ!」


 あの角を曲がれば!のこり真っ直ぐでギリギリ、本当にギリギリ間に合う!

 うおおおおお!チャージ○回フリーエントリーノーオプショ○バトル!!!うなれ!俺のあしいぃ!


 そして角を曲がる瞬間、周りが全てスローモーションになった。

 実際にはなってないのだろうがそうなったと錯覚する。


 曲がり角を曲がった時、目の前から頭を掻きながらダルそうに歩いていてきた神父服の男性が居たのだ!そして......


 「あ!あぶな......!」


 「え!?な!?」


 思いっきりぶつかった......

 

 咥えていたパンがふっとび、相手もふっとび自分もふっとび、尻餅ついた衝撃で脳が揺れる。

 相手の男性は


 「いてて......普段なら気付くのに」


 と言い、すぐに此方を見ると......


 「君はっ!」


 何故か俺をみて驚き、そして俺も驚いた。


 「あなたは昨日の!」


 そう、ぶつかったのは昨日公園で死にそうな顔してた......若い神父さん。

 

 「のじゃ!?ど、どうして......アオイ!早くしないと遅刻するのじゃ!」


 「え?あ!そうだね!ごめんなさい神父さん!僕達急いでるんでまたどこかで!すいません!」


 確かにルカの言う通りだ、のこり時間が限られてる中、ここでの時間ロスは死を招く。

 

 「え、あ......」


 そのまま何か言いたそうにしてた神父を置いて俺とルカは学校へ走っていった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 キーンコーンカーンコーンと、チャイムが鳴る。

 

 「ふにゃぁ......間に合ったぁ」


 いや!今のふにゃぁはそう言うのじゃないから!なんか出た感じのだから!


 「のじゃ......」


 ちなみに今日は入学式以来の汗だくで登校......大丈夫かな?汗くさくないよね?


 そんなこんなで先生がすぐに教室に入ってきた。


 「今日は予定していた授業と別にスペシャルゲストをお呼びしました、入ってきてください。」


 教室の生徒ともちろん俺もざわつく。

 スペシャルゲスト?

なんだそれ?このタイミングだから英語の授業で例えるなら本場の人来たとか?


 「はぁ......へーい......」


 「!?」


 「のじゃ!?」


 そして、入ってきたのはダルそうに、心底ダルそうにして、オーラがただただもう本当にダルいというオーラを発している。


 「どうも、みなさん初めまして【ルコサ】と言います、一応エメラルド冒険者をしています、以後覚えなくていいけどお見知りおき~」


 うむ、普通アニメなら「あー!今朝の!」とか言う場面だろうけど、実際にこういうシチュエーションあったらどうなると思う?


 「「よろしくお願いしますー」」


 答えはこうだ、普通に挨拶をする。

 当たり前でしょ?ここは現実だぞ?それに何より今朝たまたま会ったばかりの人に対してそんな事普通言わないしな。


 それよりも!


 【エメラルド級】の冒険者だ!

 すすすすすごい!なんでこんなとこに!?サイン貰おうかな?

 って、あれ?なんかこっちみてる......?とりあえず頭をさげて「ちわっす」と小声で言っといた。


 そして質問コーナーが始まる。

 やはりみんな【冒険者】になる人達だ、ルコサ先生に対してひっきりなしに質問攻めが始まる。

 

 「ルコサ先生、エメラルド冒険者は一人でなったんですか?」


 ルコサ先生はダルそうにみんなの質問にたんたんと答えていく。

 ちなみに俺はこう言う時、手をあげない派。

 だって当てられたら恥ずかしいもん......


 「あーいや、俺とは別に三人居て四人のパーティーでなった。」

 

 「はい!ルコサ先生は今どれくらい儲かってますか?」


 「大体依頼は新種のまも......えーっとミクラルではモンスターか、新種のモンスターを狩ってギルドから一匹一億程で取引してる」


 「「「おおおおぉおおお!」」」


 おおおおおぉぉお!すげぇ!夢を見せてくれるぜルコサ先生!

 まぁ、俺は奴隷だからお金使うことないんだけど......今はルカが頼んだら買ってくれるが上限はあるだろう。

 しかし、一匹で一億貰えればなんでも魔皮紙とか買い放題じゃん!


 「はい!ルコサ先生はどこの役割なんですか?」


 「俺は中距離専門の魔法サポート、あとはパーティーメンバーと罠をはったり色々とするかな」


 「おおお!では得意な魔法は!適正魔法とかあるんですか!」


 「残念ながら適正魔法はないけど、この装備は特注品でね、【転移魔法】に【炎魔法】や【水魔法】必要なものの魔法陣やモンスターの素材で作られてるよ......そうだなぁ、君達が知ってそうなのは【メテオクラッシャー】も一人で使えるよ」


 「「「おおおおおぉお!」」」


 おお!すごい!【メテオクラッシャー】は魔力の大きな大きな塊を空気中に作り出して相手を自動追尾する超級魔法!

 是非是非見たい!超級魔法!

 流石に校舎が壊れるかな?でもいつか見てみたいな。


 「はいのじゃ」


 お、ルカが手をあげた。


 「なんだい?ルカさん」


 あれ?なんで名前知ってるんだろ?まだこっちは何も自己紹介してないけど......あ、名簿か、なるほど。


 「どうしてここに来たのじゃ?」


 ん?どういう質問だろ?

 この学校にってことかな?


 「......やることがあってね?」


 「そのやることとは何なのじゃ?」


 「それは秘密だぜ☆」


 「ぐぬぬぬ......」


 うん、すごくノリのいい先生だなぁ


 「これだけ言っとくと、【仕事中】でこっちから動き出した......かな?」

 

 そういってルコサ先生はこっちを見てくる。


 「????」


 「で、みんな質問俺にしたいだろうけど......そろそろ限界なのでここで失礼」


 「「「えー!」」」


 「頭痛がひどいんだ......勘弁して」


 確かにだんだんルコサ先生の顔色は悪くなっていってる......それを見て「大丈夫ですか?」と見ていた先生が声をかけて


 「大丈夫じゃないです......すいません、保健室借ります」


 フラフラとそのままルコサ先生は出ていった。


 「動き出した......のじゃ......」


 ルカの呟きも俺にはわからないけどとりあえず今日も平和な日になりそうだ。







 それに、もう少しで体育祭だしね!






 

 



 

 



 

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