第280話 まさかの押し倒される方!?

 身体がフワフワする......


 「だ、大丈夫かい?かなりハイペースで飲んでいたけど」


 「だいじょーぶいっ」


 そんなに心配しなくてもほろ酔いくらいよ~っと俺は自然と指でVサイン!

 あれ?なんか視界が揺れてるなぁ......


 「あんまり大丈夫じゃなさそうだ、そろそろ......」


 んにゃ!?これはやばい!俺が大丈夫なとこを見せないと!とりあえず立って意思表示を......


 「だいひょうふ!ほら!こんなに!......うわ!」


 足にちからがはいらない!?やばい!たおれ......


 「っ!あぶない!」

 

 ステーキの人は転びそうになる俺を見てテーブルのお酒をこぼすのも気にせず席を立ち此方にくる......ちなみに俺は勢いよくしりもちついちゃった......


 「いったー......」


 「まったく......大丈夫かい?」


 ステーキの人は怪我がないのを見て安堵した後、手を伸ばして起こそうとしてくれるので掴んで


 「ありが......うわ!」


 「あ!」


 起きようと体重をかけた瞬間、ステーキの人は濡れていた床で滑って俺を押し倒して来た。

 

 「......」


 「......」


 押し倒した時に手をついた先が俺の胸をわしづかみにしてる......なんてベターな......


 「す、すまない!」


 「ん、いいよ、気にしてないし事故だしね?」


 バッ!と手を勢いよくどけたので今まで押し潰されてた俺の胸が元の形に戻るときに揺れる。




 うん......いや、怒ってないんだけどさ......俺される側なの?

 目の前のステーキの人は顔を赤らめアタフタしてるし......お前はどこのラブコメ主人公だ!


 てか!おかしくない!?

 それ普通なら異世界に来た男の人が普通やること!される側とか聞いたことねーよ!!てか退けよ!?

 

 「あ、あの......大丈夫だから.....ね?落ち着いて?まずは僕の上から......」


 「あぁ!どうしてしまったことか!貴族である私が......女性のオオオオオオオッパイに触るなどという罪を犯してしまった!」


 えええええええええ!?

 なんか俺の上で錯乱してるんだけど!?


 「落ち着いて!?事故だからね!?ばれなきゃセーフだよ!」


 ばれなきゃセーフ......何てことないその言葉は真面目な貴族の人にたいして火に油を注いでしまった。


 「ばれなきゃセーフ......あぁぁぁぁあ!やはり私はバレてはならない罪を犯したのか!一体なんだ......オッパイ罪か!?」


 オッパイ罪ってなに!?そんなのあるの!?

 てかセクハラって罪でしょ!いや!この状況的に俺はそもそも男だし男の胸くらいどーでもいいだろ!?


 「お父様......私は......私は!」


 嘘だろ!?人の上でまじで泣き出したよこの人!?さっきまで俺に自慢気に料理の話してたじゃん!?

 ええい!こうなったら!


 「あーもう!」


 俺はステーキの人の手を取り自分の胸に持ってきてさわらせる。

 な、なんかこれはこれで恥ずかしいな......


 「え......あ......」


 俺の胸をまた触ってすぐに退けようとするのだが俺が力をいれてそれを阻止する。

 なので、確認するようだが彼の片手は今俺の胸を掴んではないが触っている状況だ。


 「ほ、ほら、僕の胸柔らかい?」


 「......」

  

 それを聞いてコクリと泣きながら頷く。


 「これは事故でもなんでもなく今僕の意思で僕が作り出した状況だよ」


 「え?......」


 「だから......何回も言わせないで......それともハッキリ言わないとわからないかな?」


 そう、そっちが罪と思うなら俺の方が罪を被ればいい!

 大体こう言うのって女が有利なんでしょ?電車の痴漢とか疑われたら男性は絶対勝てないって言うし。


 第一に!俺は男だ!こんな胸なんて減るもんじゃないし、美味しいもん食わせてもらったしお酒も飲んだしこんくらいへーきへーき。

 逆に男の胸ですまん......ってなるが......


 「つ、つまり、君は私に触られたかったのか......?」


 うーん、なんかちょっと違う気がするけどそういう事なのかな?


 「そうだよ?だからさっきの件は......うぇ!?」


 俺が「そうだよ?」と言ったらステーキの人はそのまま上から抱きしめて来た......はい?


 「そうか......そんなに私の事が......好きなのか」


 「へ?」


 「私は貴族だ、普通なら許されぬ恋......だが、受け入れよう」


 えええええええ!?ねぇ!?どどどどういう状況!?

 え!?待って!?目を閉じて顔近付けてきてない!?ちょいまてえええええええええぇ!!!


 ファーストキスがぁあああ男にぃぃい!


 

 


 もう少しで唇が触れそうになるところで


 キーンコーンカーンコーン


 チャイムが鳴った!なんてベタな!でも助かった!



 「ご、ごめん!僕代表だから早く戻らなきゃ!続きは今度ね!?ごちそうさまでしたー!!!」



 ちょっと失礼だけど無理矢理すり抜けて俺は逃げるように【転移魔法陣】で教室にもどった......














 ......あぶねぇ......

 

 




 

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