第218話 【山亀】は王を運ぶ!

 《世界樹》

 

 「急いで砦を立てろ!大型魔方陣の準備だ!」


 「資材も集めろ!」


 獣人騎士達はあれやこれやと仕事をしていく、世界樹ウッドは足元から余す事なく魔皮紙を貼りまくり、その上から鉱石で覆っていく。


 来るべき【山亀】を討伐作戦の準備だ。


 「お母様、世界樹の補強は順調に進んでおりますわ、このペースなら山亀が来る前には終わるかと」


 「うむ、しかし油断してはならぬ、他の町でも砦を作る様に指示するのじゃ、ここに来るまでに少しでも奴の魔力を削る様に」


 「分かりました、民の避難が終わった町から手配していきます」


 「うむ、グリード王国は遅れをとったみたいじゃが、我々は万全の態勢で迎え撃とうではないか」


 「はい、後は山亀の気が変わり進路を変更してくれたら1番良いんですけどね」


 「それは無かろう、奴は必ずここに来る」


 「?、どうして解るんですか?」


 「…………」


 「お母様?」


 「……これは、我ら『愛染家』と『世界樹』の隠された歴史にはる」


 「はい」


 「この世界樹には呪いがあるのだ大昔からの……忌まわしき呪いが」


 「呪い?」


 「うむ……その呪いとはな、ある人をここへ招いて居るのだ」


 「それは?」


 「この国の本当の王じゃ、そしてその王は『女神』の力を持つもの」


 「っ!待ってください!それじゃぁ私たちの国は!」


 「そう、元々は悪の『女神』が作り出した国だったのじゃ」


 衝撃の真実に姫は目を開き手にあった資料を落とす。


 「そして『山亀』は女神の作り出した四聖獣の1匹でその王を運ぶ様になっている」


 「……」


 姫は深呼吸をして正気を無理やり取り戻した。


 「四聖獣……ですか?」


 「うむ、女神の作り出したと言われておる『天災』の4匹じゃ、そしてここにやってくる王は、我々と同じ種族で我々と同じく尻尾が二つある」


 「…………衝撃的な事が多すぎて頭がパンクしそうです」


 「無理もない」


 「つまり、その呪いの通りなら世界樹に女神を乗せて来ている……途中で進路を変更しないと言う事ですね」


 「間違いないじゃろうな」


 「それが本当なら現在の王である私達はどうなるんですか?」


 それを聞いて女王は持っている扇子で口を隠した。


 「本物の王がここへ来る……だがそれは昔の話じゃ」


 「なるほど、つまりお母様は____」












 「山亀と一緒に王を殺す気ですね」









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 《その頃、アオイ》


 「み、水だ!やった!」


 岩の上から雨水がポツポツと落ちてくるのを確認したアオイは天にも上る気分だった。


 もはや床が見えなくなるほど落ちてる黒い薔薇の花びらをかき分けながら水滴の落ちる真下に入り____


 「あーん……」


 アオイはそのピンクで小さく可憐で美しい口を開いて上を向く。

 

 ピチョ……と綺麗な舌の上に水滴が落ち。

 乾きを少し和らげた。


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 『山亀』到着まで後4日

 

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