第200話 門番ふたたび!

 《アバレー王国》


 「やっと着きました……」


 「……帰ってきた」


 「私の場合、家から来た方が近かったんだけど〜」


 ヒロユキ達はたまこの案内のもと、龍牙道場の入り口に来ていた。

 

 「……本当にここ?」


 「そうよ~」


 「……どうみても道場じゃない」


 “うまかっちん”と言う看板を見ながらヒロユキは言う……外見はどうみても小さな居酒屋なのだ……しかも時刻は夕方頃なので中から美味しい匂いが漂ってくる。


 「秘密の道場だからね~……まぁ~あのルコサって人にはバレてたみたいだけど~」


 「では、私もあるのは知ってたんですが直接来たのは初めてです……てことで!たのもー!たのもー!」


 「……それは道場破りのセリフ」


 ユキはガンガンと扉を叩くと中から「扉が壊れるだろうが!」と狼の獣人が出てきた。


 「まだ準備中だろうが!見えねぇのか!」


 「私としては料理も気になりますが目的は道場の事で来ました!」


 「……」


 「はぁー?」


 何を言っているか解らないという表情をしながらも狼獣人の目は3人を見ている。


 「……」


 だが3人とも見定められてる事は視線で解っていた。



 結果。


 「何言ってんだ?ここは見た通り居酒屋だぞ?酒も飲めないガキが来るんじゃねぇ!帰った帰った」


 どうやらダメだったみたいだ。


 「ムッか~!ガキとはなんですか!」


 「……」


 「ヒロユキさん離してください!むぐっ!」


 ヒロユキは話がこじれそうになユキを拘束して口を封じ、たまこに任せる。


 「あの~私の師匠はそちらの師匠とお知り合いで昔私もここに来たことあるんですが~」


 「覚えてるよ、あの時の嬢ちゃんだろ?立派になったな、だからダメなんだ」


 「どうして~?」


 「門番のルールだからだ」


 「中に入るだけでも~?」


 「それを許したら門番の意味ないだろ?嬢ちゃんには悪いけどそこのガキを連れて戻りな?」


 「う~ん」


 「頭に来ました!」


 「……あ」


 ユキはヒロユキを振りほどいて狼の獣人の前に立つ。

 慎重差が二倍はあろうかという相手に一歩も引いてない。


 「なんだガキ?」


 「ガキじゃありません!私の歳は大切な人には教えてるので他の人にはシークレットにしてるのですがお酒は飲める歳なんです!」


 ……普通に言えないのか。


 「そのナリで嘘はいけねーやい」


 「良いでしょう、ならあなたの飲み勝負しましょうか!私はあなたごときに負けませんよ?」


 「本気で言ってんのか?俺は見た目通り酒好きだし好きだからこそ店を開いてるんだぞ?」


 「私のお母さんもお酒が大好きで私自身もそれで好きになりました!あなたのお酒愛と私のお酒愛どちらが上かハッキリさせようって言ってるんです、まさかガキ相手に逃げるんですか?ここの店主ともあろうものが」


 「良いだろう!そんだけ言うならやってやるよ、そっちが負けたら皿洗いを一週間はやってもらうからな?」


 「良いでしょう!ヒロユキさんなら皿洗いでもなんでもしてやりますよ!此方が勝てば道場入らせていただきますからね!」


 「良いだろう!」










 「……あれ?俺?」










 


 

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