第133話 ナオミ!


 「ふんぬっ!」

 

 次々に襲って来る人間サイズのブルゼをナオミの大剣が凪ぎ払う。

 

 「……すごい迫力」


 「そりゃ褒めてるのかい?こんなもんじゃ!ないよ!」


 一匹、また一匹と弾き飛ばされる様に殺されていく。


 「アニキ、一つ気になることがあって」


 こっちもまた涼しい顔でブルゼの首を確実に切りとりながら話しかけてくるジュンパク……


 「……気になること?」


 「連れていかれてる人達って全部共通点あるんだよね」


 「……共通点?」


 一方俺は長刀でなんとか一匹を切る。


 武器は前より新調して使ってるはずなのに……この2人は何でこんなにスムーズに倒せるんだ……

 

 「うん、金髪、青い目……そしてここ最近流行ってる整形した人達……と言うことはさ__」


 「……アオイか」


 「うん……なんでかは解らないけどね、もしかして捕まってるかも?」


 「……大丈夫」


 「根拠は?」


 「……ない」


 「アニキらしいね」


 「やっぱり、あたしの見込んだ通りアンタいい男だね、惚れちまったよ」


 そう言いながらブルゼの首をなんなく腕力で引きちぎる。


 ……なんで今の話で惚れられたんだ……


 「……勘弁してくれ」


 「それで、あと少しで付くけど覚悟はいいかい?」


 「……覚悟?」


 「ギルドが機能してないって事は何か悪い事が起きてるってことさ」


 「うん、ミーもそう思うよ兄貴、ギルドは早々にテロリストや海賊、山賊とかに制圧されないよう結構警備が厳しいのにそれすらも突破されてるって事になるからね」


 「……ジュンパクは何で詳しい」


 「え?そりゃだってミーは海賊だもん♪」


 「……」


 もん♪と言いながら笑顔でまたブルゼの首を刈り取った……


 段々とブルゼの数も多くなってきているのにコツを掴んできたのかスピードは早くなっていきそして____





 目的の中央ギルドが見えた。





 「……なんだこれは」


 「なるほどね、そう言うことかい」


 「うわ、気持ち悪」


 ギルドの壁にはギッシリと蜂の巣の様にブルゼが詰まっていて真っ黒になっていた。

 

 「巣って事かい……一体中はどんな状況なんだろうね」


 「ミーは外で待ってようかな?ちょっとこの中に入るのは気が引けるというか……」


 「……」


 「アニキ!?」



 近づくとヴヴヴヴヴヴ!と壁のブルゼ達は威嚇してくる。


 やはりコイツらは目的の奴を狙って誘拐しているらしいな……つまり、アオイの特徴の人達……



 戻るとジュンパクが顔面蒼白になっていた。



 「アニキまじで何であんな行動したの!?」


 「……すまん」


 「ほんとビックリするからやめてよね!?何かあったらユキの姉貴から怒られるのミーなんだから!」



 さて、どうするか……


 

 どちらにしろ中に入らないと話にならない。

 しかし、俺達が攻撃を仕掛けた瞬間にこのおびただしい数のブルゼ達が襲ってくるだろう……ここは出直すか……



 「あんたらは下がってな」

 

 そう考えていたらナオミはゆっくりと俺たちの前に出る。


 「こいつらの注意はあたしが引き付ける、その隙に中に入ってポータルを起動させな」


 「…………」


 「へー?何かあるの?ミーだったら撤退だけど?」


 「あたしゃ、昔からグリード王国の【限界突破】っていう魔法と相性良くてね、それを使っていくうちに身体も強靭になって、あたしの【限界突破】は、いつしかあたし個人の魔法に進化した」


 そう言うナオミの身体に模様が浮き上がり始める。


 「これが私の切り札だよ【ナオミスペシャル】!」


 筋肉質の身体がまだまだ膨張して太くなり1回り大きくなった!


 威圧感がすごすぎる……

 

 「がぁぁぁああ!!」


 そのまま壁のブルゼを引き剥がし片手で頭を握りつぶしその死骸を引きちぎる。


 それと同時に何百何千と言うブルゼ達は一斉にナオミに襲いかかる!


 自慢の大剣を嵐の様にふりまわし豪快に襲いかかってくる者たちを薙ぎ払っていき__


 「うがぁぁあらぁぁ!!!」


 そのままブルゼ達ごとギルドの壁に大穴を開けた!

 

 「ここは!あたしに任せろおおおお!!!




 その言葉を聞き、俺とジュンパクの2人は大穴の中へと飛び込んで行った____



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