第112話 兎は実は!


 「ごめんなさい!部屋、間違えました!」


 「間違ってへんよ!」


 「で、ですよね」


 この“女の子同士なら同じ部屋”で良いだろうという展開。


 まぁ、普通はそうか……奴隷1人に1つの部屋って言うのはもったいないし。

 アンナ先輩とも同居だったんだけど……罪悪感がすごいんだよな、騙してるみたいで。


 「あんたの荷物、そこにあるよ」


 黒兎耳の獣人ルクスさんはふわふわしたピンクの寝巻きだ。


 とりあえず荷物を確認。


 えーっと……


 「メイド服……メイド服……チャイナドレス……メイド服……メイド服……普通のは!?」


 おっといかん声に出た。


 「こっちも届いてたけど?」


 そう言われて置き手紙と一緒に紙袋が置いてあった。

 なんだろ?持ったらフワッとした感覚が手に伝わり服と言う事が分かった。


 うーん、他とは違うからまた新しい服を買ってくれた、とかかな?


 __と、思いながら紙袋を開けると……


 「こ、これは!」


 なんと!そこにはグリード王国で最初に貰ったあの青い服と白い羽が一枚付いているネックレスがあった!


 

 手紙は!?



 {あんな服ばっかりだと困る事があるでしょ?だからこの青い服はマスターに内緒でとりあえず送っとくわよ……それと、ポケットから大量の鳥の羽いっぱい出てきたんだけど例のベルドリの奴よね?思い出を大切にするのは解るけどこんなにあっても仕方ないから一本だけ入れとくわよ________アンナより}



 アンナ先輩ぃいいい!なんて気が利く人なんだ!

 ただのギャルじゃなかった!

 

 「あれ?部屋着は入ってへんの?」


 「部屋着?」


 「寝る時どうしてんの???」


 「え?寝る時は大体下着です」


 「ええぇえええ!?!?!?」


 「???」


 普通……だよね?

 

 「い、いや、確かに奴隷なんてそんな扱いされて当然よね……」


 何やら勘違いしてるようだが……俺は元からパンツとTシャツだけのスタイルよ?


 でもよくよく考えたらここ最近そのスタイルで寝てないよな?確かに奴隷訓練時代はボロ布きれ着た状態で寝てたし病んでた時は夜に呼び出されても良いようにメイド服で寝てたし……


 「解った!ここに居る間はあたいのを貸してあげるけんな!」


 確かに部屋着と言われたら何も持ってないし、違うマスターの奴隷同士の相部屋となると気を使わないとな……出来れば普通のやつがいいけど……


 「これなんかどう?」


 出てきたのはピンクのモコモコしたやつ(お揃い)だった。

  

 「あ、ありがとうございます」


 分かってる、相手から見たら俺は女だから仕方のない事は分かってるけど!


 こんなにファンシーなのを着るのは正直抵抗がががが__


 「どういたしましてやね、とりあえずお風呂入ってくるでしょ?大浴場にいってきよ」


 「そうしますね」


 俺はモコモコしているピンクの部屋着を貰って自分の送られてきた奇抜なエロい下着を持って部屋を出る。


 



 「はぁ……」


 


 なんか……自分の手に持っているものを見るとため息出てくるな……

 ここまで女の子っぽくて可愛い服を着るのって初めてじゃ無い?

 下乳ファッションくらいか?



 

 「大浴場はここだね」


 

 小さい子達がさっき入ってたので覚えている。


 そして脱衣所で裸になっていくのだが……


 __ガチャっ



 ん?ガチャ?


 

 「やっほー、一緒に入りに来たねんよ」


 「ルルルルルルクスさん!?」



 おぅふ……ヤバいヤバいヤバいピンチ到来!


 どどどどどうしよ!これあれだよ?前にもいったと思うけど別に女性の裸はどうでもいいのよ?自分の身体で慣れてるから……問題は“相手が俺を女と思ってる事”!


 罪悪感がぁぁあ!


 でもここで断るのも変だしどうしよ!?


 「ふんふふんふふん〜♪」


 ねぇなんで数あるロッカーの中からわざわざ俺の隣に来て隣で脱ぎ始めるの!?イヤァァ!俺のH!


 とりあえずルクスさんを見ないように意識しながら大浴場に入る。


 ミッション発令!

 

 “普通の女の子を演じろ”


 普通に、普通に……いきなり緊急事態!普通の女の身体の洗い方ってどうするの!?今まで女子と一緒に風呂に入ったことなんてねぇよ!


 あぁ!また俺の横に来てる!


 「……」


 「……」

 


 そのままお互いに無言タイム。


 俺はとりあえず髪から洗う。


 「……あのさ」


 「はい!」


 「そんなに大きな声ださなくても聞こえてるねんよ」


 「ごめん、なさい」


 ちなみに前を向いてるので相手の身体はちゃんとみてないぞ!俺は!


 「今日あたいが買い出しに行った時さ、ポスターがいっぱい貼ってあったんだけど」


 「っ!?」


 俺の洗っている手が止まる。


 「そ、そうですね、アリマシタネ」


 「いや〜あたいもすっかりあの顔の虜になっちゃってさ〜、もう心もメロメロ、女だけど一目惚れしたわけなんよ〜?」


 すっごい俺を見られてる視線を感じる。


 「ハッハッハ、ソレハタイヘンデスネ」


 「…………」


 「…………」


 「…………」


 「…………」


 「ふぁー!!!」


 「うぇぁえ!?!?!?」


 ふよっとした感覚が腕に伝わった後、ルクスさんの肌の感覚が襲ってくる!


 こ、これは!?


 ルクスさん裸で俺に抱きついてる!?


 「億超えのレンタル奴隷!それにポスターと同じ顔!間違いない!アンタがオリジナルやねんな!はぁはぁ……たまらん、たまらんぞぉ!あたいの隣に!この白いツヤツヤした肌!大きいおっ○い!これは、これはたまらんのぅ!グフグフ」


 「あ、あの!ち、ちょっと!?」


 「洗いっこ♪洗いっこ♪あたいの身体で洗ってあげるねんな♪」


 「う、うううぅぅぅ」


 ボディソープやシャンプーのせいでぬるぬるしてる体を俺に擦り付けてきたり胸を揉まれる!


 「そんなに嫌がらないねんな〜♪それに__」


 ヌルヌルと俺の身体に自分の身体を擦り付けながら耳元でルクスさんが呟いた____


 「____あたい……レズなんよ♪」


 !!!!!!!!!!!!!!


 ゾワゾワゾワと身体が危険信号を発する!


 「うぇえええ!?ち、ちょっと落ち着こう」


 俺はヌルッとなんとか抜け出して逃げる様に後ろに下がったが壁が!


 いや!もう目を閉じるとか閉じないとか見る見ないとかの問題じゃない!



 「あたいも女だし良いよね!女同士なら問題ないよね!」


 ヤバい、俺の身長より高い兎女は距離を縮めて来てる!



 「あ、あの、女同士でと色々と問題が__」


 「なーーーーーーーい!」

 





 ぎゃぁぁぁぁあああ!!!エッチイイイ!





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 ______













 

 



 

 

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