第111話 世間の噂!


 「ほーら、みんな朝だぞ~起きろ~」


 「むにゃむにゃ」


 「ねむーい」

 

 「あしゃ?」


 子供達がウマズラさんの声で起きてくる。

 そう言えば、奴隷のほとんどが獣人だけど、よく見たら人間の奴隷も居る。


 「僕は何をすればいいんですかね?」


 「とりあえず、1日通すから見ていてくれ」


 「せんしぇい」


 すると1人の子がウマヅラさんに寝ぼけながら足に抱きついてきてる。


 「どうした?」


 「せんしぇい、まだ眠い」


 「ほら、眠くても起きないと朝のご飯が食べれなくなるぞ?」


 「ふぁ~い」


 かわえぇ……

 癒されるなぁ。


 みんな起きて自分の布団を「んしょ、んしょ」と言いながら畳んでる。


 かわええええええ!


 「良くできたぞ」


 ウマズラさんは子供を撫でている……お、おれも撫でたい。


 「先生〜その人は??」


 たぶんこのクラスのガキ大将が俺を指差して言ってきた。

 子供ってすごいよね、起きたら速攻でテンション上がってんだもん。


 「今日からお世話になるアオイ先生だ」


 「よ、よろしくね」


 俺は握手しようと前屈みになって手を差し出すと。


 「……」


 めっちゃ胸に視線を感じる……子供は正直だね。



 「握手だよ?」

 

 「うん……」


 小さい手で握手をしてくれた!


 あーもう、この子も可愛い!かぅわぁうぃーい!すこ!

 


 俺は元々可愛い物には可愛いと正直に感じるタイプだからかな?ものすごく癒されるフヘヘ



 俺のことを気にしているのかな?並んで歩いている時みんなからの視線を感じながら部屋を出て食堂に向かった。


 そこには今度は机が並び、朝食が用意されていた。


 「みんな、席に着いたか?」


 「「「はーい」」」


 「はい、じゃぁ、手を合わせて、モグリ様、ありがとうございます、頂きます」


 「モグリ様ありがとうございます、頂きます」


 ……何これ何かの宗教?


 その後は屋敷の庭でみんな遊んでるのを見学、お昼ご飯を食べてお昼寝。

 

 起きたら屋敷のお掃除をするのだが__


 「あ……」


 「なんだ?」


 屋敷の掃除をするのにみんな服が汚れてもいいようにボロい布切れに着替えるのだ。

 

 「あの光景はこれだったんだ……」


 うっすらある記憶の中に子供達がぼろぼろの服をきて掃除をしている風景があったが、この時にちょうど町長と来たのだろう。


 そのまま夕方にお絵描きや絵本。

 そしてお勉強。

 夕食を食べて、大浴場でお風呂。

 そのまま21時には就寝だった。

 


 いや〜今日は良い日だったなぁ!


 まだ子供たちは俺を警戒しているのであまり寄ってきてくれないけど何人かは勇気を出してこっちに来てくれたりしてた。





 __そして夜。



 子供達が寝た後、ドーロとウマズラの部屋に俺は来ていた。


 「どうだった?今日は?」


 「はい、まさかこんな仕事とは思いませんでした」


 「そうだろうねー」


 「てっきり、その____」


 「変態な事をされると思ったか?」


 「……」


 「まー無理もないよねー、あの顔だし」


 「こら、ドーロ、マスターの侮辱は許さないぞ」


 「ひぅ、ごめんなさいー」


 あ、尻尾と耳がシュンとなった。


 「話というのは、その……マスターについてだ」


 「マスターについて?」


 「買い出しに行く時、少しだけ噂を耳にしてな……もしかしたらだが、アオイは何か聞いたことあるか?」


 「え、ま、まぁ」


 「私達、子供のお世話でほとんど屋敷を出てないのー….…だから外の情報を教えてもらえると助かるのよー」


 「そう言っても僕も奴隷ですし、そんなに外には出てないですよ?」


 「頼む!教えてくれ!」


 「ち、ちょ!頭あげてください!…………え、えーっと……泣き叫ぶ小さい子供に変な薬をうって楽しんでるとか……」


 「子供が熱をだして魔法で治らないから注射で薬をうっていただけだ!」


 「小さな子供を魔物の所に置いてきぼりにして魔物の餌にしたり……」


 「家畜魔物に触れ合いしてただけだ!」


 「奴隷を買っては殺してたり……」


 「奴隷という肩書きを消させるために一度死んだようにギルドに通知して、そのあとに新しく他の国から来た者として名前を変えて登録してるだけだ!」


 「こ、こんな所です僕が聞いたのは……」


 「何て事だ!くそったれ貴族どもめ!あのマスターをそこまでいうか!」


 バン!と机を叩くので俺も驚いて「ヒンッ!?」と声が出てしまった。


 「ごめんなさいねー、ウマヅラの言うことも私も解っちゃうのー、今回のアオイちゃんだってマスターはほっとけないって思ったんじゃ無いのかしらねー」


 そ、そうなのか……

 え?めっちゃ優しいやん。


 「ここに子供が居るのはマスターが残虐な事をするのではなく、立派に育ててある程度能力が付いたら1人立ちさせるためだ」


 「もう何人もここを卒業してる奴隷はいるのよーまぁ、ヤンチャに育って自分達の売っていた奴隷商を襲った奴も居るけど……マスターが指示をしたと濡れ衣まで着てくださったのー」


 ウマヅラは少し涙目になりながら言う……それをヨシヨシとドーロが撫でてなだめてる。

 

 「そ、そのごめんなさい」


 「君が謝ることじゃない、俺たちも何も出来ない、ならせめて、マスターの側に居る間は……いや!生きてる限りマスターの!マスターのおおぉ!」


 「ひぃぃ!」


 こ、こええぇ、何この威圧!ウマヅラのウマヅラが相まって超こえええ!


 「ごめんねー、とりあえずここは私がなんとかするからー、あなたの部屋はここを出て二つ隣の部屋よー」


 「は、はい!失礼しました!」


 俺は急いで部屋を出た。


 「あ、あんなに怒るんだ」


 それだけマスターの事を信頼してるんだな……モグリマスター……見る目が変わったよ。



 「えーっと確か、この部屋だよね」



 俺は指定された部屋に入ると__


 「いらっしゃーい?随分遅かったやないの?」


 



 




 ______兎獣人のルクスさんが居た。










 

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