レイヤー。それは呪いか、福音か――。
- ★★★ Excellent!!!
- 真野てん
レイヤー。
それは人とはちょっと世界の見え方が違うひとたち。
不幸な災害が原因で、後天的にそうなってしまったひとたちだ。
しかし自然は流転する。
その呪いは徐々に薄れていった。
本作はふたりの少年の出会いからはじまるハートウォーミングでちょっぴりシリアスな学園青春ストーリーだ。
彼らは陶芸を通じて絆を深め、お互いを高め合う。
その姿に共感する読者も多いのでは?
自分も本作を読んで教えられる部分が多く。
陶芸というモチーフのなかに、人生における大切なことや困難なこと、また分かち合う喜びを見た。
他人にとって奇異な出来事というのは、果たして本当に不幸なことだったのだろうか。その体験は自分にしか出来なかった、分からなかったというのは本当に悪いことだったのだろうか。
ひとは失ってから初めてその本質を求めようとする。
いまはもう失くなってしまった何かを、道標もないままに探す。
そんなふたりの勇敢な物語をいま読もう。
われわれが成長の途中、どこかで置いてきた何かともう一度出会うために。