第六十回 そろそろ『じっけん』を始めよう!


 ――って、何の実験?


 ふむふむ、そうそう『りかのじっけん』……今が区切りの良い処、第三章のタイトルでもあるから無視できない。今日は日曜日。学校の多くは明日から新学期だけど、僕らの学園は九月二日から二学期になる。――ねっ、いいでしょ? 二十四日ももう昨日、あの大イベントを成し遂げたのだから、きっとご褒美の連休だね。


 だから『りかのじっけん』は『理科の実験』にあらずで、

 ――『梨花りかの実験』なのかな? 夏休みの宿題は完結し、自由研究はあり得ない。



 遊びの中に『実験』がある。一本の矢より三本の矢、決して折れない。冒険や探検などには効果的だ。一人でなく三人だから意味がある。三種の知恵、考え方があるのだ。


 残り一週間ほどの夏休み。遊び倒すつもりだったけれど、

 ……遊びでありながらも、やっぱりお勉強は欠かせない。



 僕は、以前は千里せんりの町より南にある三番の町に住んでいた。その前はもっと南、それより前は遥かなる南東にも住んでいた。小学生時代はMAX一年半の転校族だった。


 ……お友達はいなかった。


 やっとできたと思ったら、サヨナラなの。プラモデルが僕のお友達、バンプラのコンクールだけが、僕がそこにいた証なの。……でも夢なのかな? 夢じゃないよね? 千里プラモデルコンクールの会場(つまりは千里ナンバーワンの模型屋さん)にいる。


 三人! 僕含めて。

 女の子三人だ! 僕含めて。……内、ボクッ娘が二人。


「これね、レッドコメッツ三倍速」と、ボクッ娘ではない可奈かな


「どちらかと言ったら、レッドじゃなくてピンクかも」と、もう一人のボクッ娘の

千佳ちか


 ショーケースの中にある僕がパパと一緒に作ったプラモデル。PNペンネームを使わず本名が記された白色のプレート。対象年齢十五歳僕の年齢越えのモデルだけど、僕は見事に仕上げたのだ。



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