第四十三回 梨花、舞台に立つ。


 ……そう、僕は舞台に立った。



 過ぎゆく時間、『りかのじかん』もまた然りで、お家に帰れば四十三回目。それでも稽古不足を幕は待たず初舞台。眩い光、今はナチュラルなスポットライト。


 窓から零れる自然の恵み。

 それだけではなく、真夏のストーリーも一緒に。



 ――僕は、今まさに『体育館の舞台』に立っている。


 群がる観客とは向い合せで、多くの視線を感じつつも興奮し紅潮して、演技の名のもと身を躍らせる。……躍るのは、心も一緒! 身も心も。


 同じ風を、

 同じ舞台で感じる傍ら、


「どう?」


「気持ちいい!」


 交わるマリさんの声に、僕は答える。


 僕の体、軽やかに動く。それと比例してスキップな心。

 そしてクルクル回るよ。


 そう! それだよそれ、ミュージカルだよ。



 グッと掴む。


 来たる八月二十四日の本番は、この舞台で、ここ体育館で行われる。


 少しでも体感、イメトレをして僕の心と体をほぐすのを目的として、マリさんが連れてきた。また海斗かいと部長も可奈かなも、未来みらいさんもいる。……未来さんは、川合かわい未来さんは密かに僕のライバル。――どうしてか? 何を隠そう『千里せんりプラモデルコンクール』のチャンピオンだからだ。――同日、僕はKKキングキングスの未来さんと真っ向勝負に挑むことになる。



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