第二章 令和元年版? 八月二十四日の告白。

第三十回 ……そう。戦士の休日。


 異議なし!


 パパは職場で戦士を演じている。なぜなら働くことで御給金を頂き、僕たち家族を養っている。瑞希みずき先生にとっても、僕たち生徒にとっても学園が本文を果たす戦場なら、パパにとっても職場は戦場で、僕にとってパパは尊敬する偉大なる戦士だ。



 ――可奈かなは、自分のお父さんのことを良く言わないけど、僕は世の中のパパたち全般を偉大だと思う。きっと、大きくなっても、僕はパパが大好きなのは変わらないと思う。


 ダサいとか、臭いとか、

 僕は決して思ったりしないよ!


 ――えへへ。


 パパと一緒に、浪速なにわのマルチメディアの中心部へ繰り出した。最寄りの駅から『私の鉄道』を用いて電車で一本。おおよそ四十分の道程だ。今日はサタデー。他のパパさんたち多き中でも、僕のパパが一番。――オレンジのTシャツと白いスリムなGパン。百四十センチの僕よりも、三十五センチも高い身長。そして、四十歳とは思えない容姿。



 ……名前は遠い親戚よりも近く、


 おじさんと呼べる人の名前とは真逆の『新』という文字が付く。

 おじさんの名前は『旧』という文字が付いて『旧一』と書いて『もとかず』と読む。


 ――会ったことは、一度もない。

 四年前のお墓参り、それっきり。今年はどうなのだろう?



 ……あっ、パパの名前は『新一』もち『しんいち』と読む。


 誰が名付けたのだろう? ――でも、星野ほしの新一。誕生日は九月二十一日。それでも、僕の誕生日が先だ。八月二十四日。今日はその件も兼ねている。


 僕の、一足先の誕生日プレゼントへと、現在進行形で電車はレール上を走っている。



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