第二十六回 続くからね!


 ――とにかく、今日一日を乗り切る。



 このエッセイも今日で第二十六回を迎えた。TVなら二クール。契約なら最終回を迎えてもおかしくない。……されど、『りかのじかん』は、毎回原稿一枚分(四十文字×三十行形式)。通常の約三分の一だ。毎日の更新を目指すため(三分の二以上は願望だけれども)、一回分のエピソードを短くした。その分だけでも長く、少しでも長く連載する。



 ……少し前、芸術棟の三階で取り調べ……ではなくて、

 現場(喫茶店の『海里マリン』)へ出向いた報告会。僕たちの証言は、

 瑞希みずき先生のファイナルアンサーとも一致した。



 喫茶店の『海里』は七十年代を思わせるような茶色と橙色の風貌だけれど、店内は一変する! 近未来を思わせるような輝くマシーンコーヒーメーカー。店名にも相応しいマーメードの住処のような、リトルだけれども広大な青い世界。または学生街の喫茶店とも囁かれている。


 この喫茶店の主。

 そして、店の主。何を隠そう瑞希先生のお兄様なのだ。


 アベノミクスの影響なのか? 一時的にも景気は回復。その時期に合わせて二〇一三年二月に設立。『海里』というお店の名前だけど、まるで親戚の子のように、昔よく遊びに来た近所のお嬢ちゃんの名前から取ったものだ。


 その子が大きくなって、また日本で暮らすようになって、まるで海を渡って灯台を見付けたかのように、このお店を訪れた。……彼女の『マリ』というNNニックネームは、彼女にとっては本当の白馬の王子が名付けたものだ。『海里かいり』なだけに『マリン』


 ――で、略して『マリ』となった。


 謎が明らかとなって、帰り道をともに歩いた可奈かなとも別れて、お家の玄関ドアの前。


 開けると、パパがニッコリ。――とにかく今日一日、無事に帰宅した。



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