第十回 八月は二度とない美しき企画の……。


 企画。……そう企画なのだ。

 段取り八分と同じ様に、すべてはそこから始まった。


 瑞希みずき先生への告白。それは、……それはね、まだエッセイにもならずの心の声。逸早いちはやく読者様にお伝えしたい内容で、本人に伝えるのは勇気を出してこれから。



 ――この度で第十回を迎えるが、

 大丈夫大丈夫。……都合よくもバレない仕組み。


 プライバシーは、エッセイに載せない決まりで、まあまあまあ、……テレビでよくあるピーッ! という効果音とともに、規制がかかる仕組みで、○○○と表現される。



 一筋の光の向こうへ――辿り着いた。そこは芸術棟。可奈かなちゃんの案内に従って、さらに階段上がって三階へ。ロングな髪を青いリボンを用いてポニーテール。ボクッ娘の僕とは対照的な女の子で、得意科目は『理科』……それが彼女、藤岡ふじおか可奈だ。


 この学園で、初めてのお友達。

 そのお友達の力を借りて、遂に辿り着いた。


 目の当たりには瑞希先生がいる。穏やかな、午後の光に包まれていた。

 そして、あの……。


 僕のね、すべてを見てもらいたくて、

 ……こくっちゃった。


 顔から火柱が立つほど、瞳が潤むほど恥ずかしかった。……それでも、肘鉄食らう可奈ちゃんから、足も踏まれた。ウルッとくる僕だけど、


 ――瑞希先生は、あくまで穏やかで、


 ここから本題に入る。次回は第十一回、サッカーの人数に匹敵するが……そう。人数の問題もある。可奈ちゃんの紹介によりお願いされたものは、何とまあ、


 ザ・脚本なのだ。――瑞希先生はニッコリ笑顔で、僕にお願いした。



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