第10話 病院内にて (一)
病室に案内されると直ちに当直医がみえた。
「鬼頭さん看護婦から聞きましたが、昨夜は大変だったらしいですね?」
脈を取りながら
「寒くはないですか?発熱、下痢・目眩等何処かとくに自覚症状はありませんか?」
と聞いてきた。
私は「目頭の痛みと、少しお腹の調子が悪いようです」
と答えた。
「目の異常は泥水のせいでしょう。お腹は長時間の冷水が原因ですね。下剤を飲んで胃腸の洗浄をすれば良くなると思います。体温は38度と少し高いですね。血圧も計ってみましょう…157、かなり高いが普段は幾らほどですか?」
「あまり計った事はないが2ヵ月前位に計ったかな?確か130台前後でした」
「そうですかこの高い数値も数日で治まると思います。もし高い数値が続くようでしたら薬をのみ暫く様子を診ましょう」
さらに担当医は小さな懐中電灯で眼底を調べ
「少し充血しているので、暫く目薬を差して下さい」
このように言ってさらに聴診器で胸、腹部、背中を調べた後
「のどの痛み、違和感はありませんか?」
と問う。
「のどが掠れた感じがします」
「うがい薬を出して置きますので、暫くうがいをして下さい。他は大丈夫でしょう。 若いから快復も早く大事に至らないと思うよ。もし異常を感じたら直ぐ看護婦に知らせて下さい」
「有難うご座います。身体が温まったので精神的にも落着き、今は下痢気味と目が霞む程度で直ぐに良くなると思います。お陰で助かりました」
私は担当医師にお礼を述べた。
「取り敢えず下剤を出して、洗眼をしておきます。明朝、担当医者にて精密検査と消化器官の洗浄と眼底検査等を実施されるでしょう。今は精神的に疲れがひどいので、睡眠剤を出しておきます。食事を終えたら直ぐに飲んでまずは休んで下さい。看護婦さん、睡眠薬の投与をお願いします」
「分かりました。後刻処置します」
さきほどの看護婦がメモを取りながら機敏に反応する。
私は食事を終え、筆記具を借りて先刻井戸底で暗記した被害者方々の無念な叫びと、願い事を書き終え、早朝から病院周辺で私の捜索活動をしているだろう自衛隊員に連絡を頼み、ベッドに入った。
後程、皆が中傷するであろう「非科学的体験」の説明順位を考えながら徐々に深い眠りに入って行きました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます