第102話・嵐の前の賑やかな日常




 王都にあるラーズシュタイン本邸の錬金工房……に限りなく近い部屋。

 私は今、誰でも使える汎用性の高い【鍋】の前にいる。


 取り敢えず【蒸留水】で満たした鍋の中に【赤の属性水】を少し入れる。

 馴染ませるように混ぜながら【アゼイン】投入の機会を伺う。

 武器錬成の要になる【アゼイン】なんだけど、見た目金属の割には属性は【火】なのだ。

 いやまぁ五行の考えである『金』が無いし『木』も無いから仕方ないと言えば仕方ないのかな?

 ちなみに『五行』とは『五行説』と言って万物は「火・水・木・金・土」の五行から成り立っているという思想である……多分。

 詳しくは流石に覚えていないけど確か五つの元素は互いに高め合ったり打ち消しりするという事も教えていたはず。

 うん「相生」と「相剋」っていう名前だったと思う。

 まぁ多分私達としては陰陽師とかが使っていた術はこの思想を基礎として術の構築をしている、って言えば分かりやすいと思う。

 マンガやドラマとかに出てくる陰陽師も微妙に平安時代の役職とは違うだろうけどね。

 退魔専門で明らかに派手になってるよね、あれ。

 その方が面白いからあれはあれで良いんだろうけど。


 この世界の理は『五行』ではなく、どっちかといえば『四大元素説』の方が近いと思う。

 当たり前だけどまるきり同じな訳じゃない。

 ただ単に出てくる単語と解釈が似ているんじゃないかなぁ程度の近さだ……あれ? それって近いとは言わないのかな?


 と、ともかく、この世界での基本的な考え方では「水と火」「風と土」がお互いに干渉しあい「光と闇」がお互いに干渉しあう。

 「ゲーム」とかだと火属性の攻撃は水属性のモンスターに多大なダメージを与えるとか、結構馴染みがあると思う。

 ここら辺はファンタジー世界特有の傾向のような気がするけどねぇ。

 実際『五行』の考え方をこの世界に当てはめようとしても属性多いから無理だしね。


 と、与太事はともかく【アゼイン】が火属性だから、魔力を取り出す際【赤の属性水】を入れておけばすんなり溶け出して取り出しやすくなるって訳。

 と言う事で鍋に【アゼイン】を入れた後混ぜながら抽出をしていくと鍋に取り付けられた魔石が赤く光りだす。

 それを確認すると無色透明の魔石を鍋の魔石に押し付け抽出する。

 魔石から魔石に魔力を移動させる際自分の身体を循環させて精製する事を忘れない。

 完全に移動させたのを確認した後今度は鍋に無属性の魔力を注入し混ぜる。

 

 完全に混ざったのを確認すれば、これで取り敢えず【アゼイン】を錬成の基盤する事は出来たと言う事になる。

 

 材料の帯びた属性の【属性水】を入れてから材料を入れて魔力を魔石に移し鍋には無属性の魔力を注ぐ、を繰り返す。

 鍋の中身をグルグルかき混ぜていて思ったんだけど、ただの【蒸留水】と【属性水】を入れただけなのに材料が溶けている不思議。

 混ぜ棒に塊が引っかかる事ないから溶けているんだと思うんだけど。

 【蒸留水】と【属性水】を混ぜると硫酸になるんだろうか?

 と言うか何でも解けるのって『王水』とか言わなかったっけ?

 これ飛沫が飛んだだけで人体に有害なのでは?

 そして何でも溶けるのに鍋は溶けないんだろうか?


「(これ以上考えると怖くなりそうだからやめよう)」


 錬成が怖くなりそうだ。

 『科学実験』も大概だったと思うけど。

 あれだって危険と隣り合わせだったよね!


 材料が溶かし込まれた鍋と色とりどりの魔石。

 今度はこれを順番通り鍋の中に戻していく。

 その際再び体内を巡らせ精製する事を忘れない。

 この一工程は品質に大きく作用するのだ。


 ちなみに魔力を鍋に注入する手順を間違えると最悪爆発する、らしい。

 今の所レシピ通りしか作って無いから大丈夫だけど自分専用のオリジナルレシピを造り出す時は爆発なんて日常茶飯事、らしいよ?

 まぁ『ゲーム』でもテロップで『失敗しちゃって爆発しちゃいました』とか『これ、何?』とか出てきて日数が経過していたり、妙な物体が出来上がったり色々あった。

 

「(『錬成に失敗して妙な物体が生み出されたみたい。しかもそれが急に動き出して工房が滅茶苦茶。こんなのあり?』なんてテロップが出て来た事もあったっけなぁ)」


 掃除に日数を取られたのも良い思い出だ。

 近い将来の自分の姿かもしれないと思うと笑えないけど。


 懐かしさとか色々なモノを振り払うと私は気合を入れ直し魔石から抽出し鍋に注入していく。

 時折ゼリーのような動きを見せたり、火花が散ったり、忙しなく変化する鍋を見つめながら魔力を全て注入する。

 最後に蓋をすると鍋の魔石に私の無色の魔力を注入する。


 魔石が点滅し安定する。

 後はある程度の時間待つ事で錬成完了だ。


 想像している物が出来上がるかは結果を御覧じろ、である。


 急変してもすぐに対処できるように鍋を視界に入れつつ私はリアに入れてもらったお茶で休憩する。


 今回は凄い繊細な工程が必要な錬成って訳でもないからリアも普通にいるし黒いのも出てきている。

 「魔力を注入する場合、少しずつ一定量を注入する」みたいな注意書きがあったりすると集中しないといけなかったりするから黒いのが出てくるのを止めたりするし、部屋に別の魔力があると結果に影響する錬成もあるらしいからその場合は工房には他の人を入れる事は出来ない。

 使い魔は基本的に同じ魔力だし問題はないけどね。

 あ、後削ったり切ったり、量を正確に測ったりする時は一人の方が集中出来るから、そういう時は黒いのに作業中影から出てこないか部屋を出て貰ってしばらく入ってこないようするか選んでもらってる。

 材料をはかる時『ミリ単位』とかもあるし、そんな時他者の介入で集中を欠いたら目も当てられないしね。

 まぁ、まだ初級のレシピだとほぼ材料を大雑把な量ではかって投入するだけだから、そんな頼み事をした事は殆ど無いけど。


 今回は何の問題も無いからリアも普通に部屋の中にいる。

 此処が本邸だからリアがあまり仕事が無いっていうのもあるけどね。

 私の今の家は領地のラーズシュタイン邸であり、今は一時的に別荘にいるような感覚なんだよね。

 実際はこっちの方が本邸なんだけどさ。

 そればっかりは仕方ないよね、私が産まれたのは領地な訳だし。

 

 錬成は今の所問題はない。

 むしろ問題は他の所にあった。

 

 弟殿下の覚悟とか令嬢サマの暴走の後の自滅とか、王妃様の憎悪とか兄殿下の苦悩とか。

 色々あり過ぎた交流の日から私達は登城していない。

 令嬢サマの件が色々な所に波及している、らしい。

 使者の方がご丁寧に説明してくれて、私達に非はないと念を押していったからそうなんだと思う。

 まぁ普通なら何かしらの不興を買って交流が途絶えたのかも? と気を揉む所なんだろうね。

 言われるまで気にもしなかった私も貴族としてどうなんだ? って話なんだろうね、きっと。

 そこらへんは今後の教育に期待って事で。

 ……ある意味『前』の知識やらなんやらのせいなんだけどねぇ。

 庶民根性は秘めておけって感じなんです。

 それが出来たら苦労しないんだけどさ。


 使者の方には労りの言葉と今度登城する事があったらよろしくお願いします、とだけ言っておいた。

 勿論その時はお兄様も一緒に、と言う事もしっかり付け加えておいた。

 お兄様も両殿下に好ましく思われていたようだから私が態々言わなくても一緒に呼ばれると思うけどね。


 お城が騒がしいのを他所に私は自分の課題と向き合っている。


 殿下と話した時私は無意識下を完全に制御する事は必ずしも必要ないのかもしれないと思った。

 無意識下を『地球の残滓』とみなしていたのではないかと思ったのだ。

 私は私でしかないと思っている割には私も『わたし』と「わたくし」を分けている部分があったらしい。

 こればっかりは完全に混ざり合う事は出来ないのかもしれない。

 世界が全く違うから仕方のない事だとも思っているけど。


 隙が生まれる事は看過してはいけない事だから完全に制御する事が一番安全である事は事実だ。

 けどすり合わせていき「共存」が可能ならば、それも一つの道なのだと分かったのだ。

 思い込みって怖いよね。

 そんな事思いつきもしなかったんだもん。

 完全に制御するか完全に押し殺してしまうか、その二択しかないと思っていたんだから。

 

 これが人を傷つける事への恐怖ならば此処まで完全なる結果は求めなかっただろうけど、私の悩みにも適用されるとは思わなかった。

 色々理解した上で考えてみれば完全排除は無理だと思い当たった訳だけどね。

 『残滓』だろうと無意識下の根源的恐怖だろうと自分の無意識を完全に制御する事なんて出来る訳がない。


 だってそれが発生する事だって無意識なんだから。


 その結論に至るまでが遠回りすぎるよね、って話だったりする。

 正直今まで散々悩んでいたわけだから完全制御への道を閉ざす事は出来ない。

 今でもその方が安全だと思っている。

 けど共存という道もあるのだと言う事が分かり、少しだけ安堵したのも確かだ。

 

 もう少し考えた後、どっちの道を選ぶべきなのか結論を出せば良い、と取り敢えず私の中で一段落したのだ。

 いやまぁ課題が終わった訳でもないし、棚上げな気がしなくも無いけどね。

 とは言え今の時点じゃどっちを選んでも後悔しそうだから、もう少しどっちの道も突き詰めてみるしかないだろう。

 心から納得した方を選ばないと。

 後々後悔するのはごめんである。


 鍋を見るとそろそろ錬成終了の時間である。

 鍋の前に立つと再び鍋の魔石が点滅し、最後には強い光を放ちその輝きを消した。

 これで錬成終了である。

 蓋を開けると中のモノを取り出す。

 この時には水分は全て蒸発したように完成品以外は残っていないのだから、不思議である。

 液体の場合は器を別に用意する必要がある訳だけど。

 どうせ水分は飛んで物体が残るのだから器も一緒に錬成さればいいのに。

 言ってもどうにかなる訳じゃないけど。


 取り出した【ナイフ】を検分する。

 切れ味も問題ないし、欠けている様子もない。

 手に馴染む感じは多分専用とまではいかないが今までのよりも専用に近いだろう。

 感覚でしかないけど、ステータスを見なくても何となく分かるのだ、「専用」か「汎用」かくらいは。

 これも自分で錬成したモノに限るみたいだけどね。

 私は【鑑定】のスキルはないので勘だけど不思議と外れた事は無い。

 自作のモノは作成者の魔力が残る訳だから、その御蔭かもね。


「んー。取り敢えず錬成は成功だけど、まだまだかな」

「専用は創れなかったわけか」

「前よりは良いよ。前は専用を作ろうとすると失敗したし」


 成功しても使い物にならなかったりもしたし。

 それに比べれば使う事も出来る専用よりの汎用は成功だ。

 この錬成されたナイフを見ていると本当にこの世界はイメージ優先だと思うよ。

 私の心の内が整理されていった事がこうも如実にでるんだから。

 まさか錬金術もイメージが優先されるとは思わなかったけど。

 ここら辺地球での錬金術は学問だっていう意識が残っているのかもしれない。

 錬成とこの世界の【錬金術】は前の世界の『錬金術』とは別物だとしみじみ思う。

 この世界では魔法も錬金術もイメージ最優先だと改めて思うのだった。


 完成したナイフを机に置いて私は材料を確認する。

 そのうち【アゼイン】から錬成したいモンである。

 でもまぁそのためには最低でも領地に戻らないといけないんだけどね。

 なにより【採取】はまだ行く事は出来ないから結局用意された材料を使わせてもらう事しか現時点では出来ない。

 材料が揃っているお金持ちに産まれた事を喜べばいいのか、柵が多くて自分の力で【採取】も許されない事を嘆くべきか。

 お金持ちは柵の無い平民を時に羨ましく思い、平民は自分勝手に出来ると思っている貴族を羨む。

 どっちもなってみないと分からない苦しみはあるんだけど、多分全ての人が理解し合う事はない。

 簡単に乗り越える事が出来る程壁は低くは無いという事である。

 とまぁ階級によるギャップはともかく、まだ幼子に分類される私は危険が伴う外に出る事は許されないから自分で材料を得る事も出来ないのだ。

 今の所貰った材料を節約しつつ錬金術の腕を磨くばかりである。

 だからこそ出来れば領地に戻って習練したいなぁと思うのだ。

 少なくとも特徴の無い鍋を使うよりも自分専用の鍋を使いたい。

 道具も使っていくうちに馴染んでいく。

 高度な錬金は自らに馴染んだ道具の方が成功率が高いらしい。

 高位の錬金術師は道具も自作するらしいけどね。……鍋とかどうやって自作するだろうか?


 鍋の中に鍋が入っている光景が一瞬過ったけど、振り払う。

 それは流石にシュールだと思う。


 材料はまだあるのでもう少しナイフや短剣なら作れそうである。

 私はチラっとお茶を用意してくれているリアを見やる。


「(そろそろリアのも作れるかな? いや自分の事を先に終わらせろと言われそうだけどさ)」


 ちなみに言うのはリアではなくシュティン先生である。

 課題を出されてからずっと専用を作っては失敗して汎用を作っては成功するを繰り返してきた。

 はっきりってそろそろ違う事のために錬成したいのだ。

 まぁ此処で作れるのは試作品程度だけど。

 本格的なのは領地に戻ってから、だ。


 繰り返す作業や実験結果を考察する事は嫌いじゃない。

 嫌いじゃないけど、心持ち一つで変わる錬成を劇的な変化も無しに延々と繰り返すのはちょっと疲れてくる。

 息抜きがしたいなぁと思うのだ。


 リアと世間話しながらリアの理想の武器とかを話せば息抜きになるしリアの武器を作る際の参考にもなるから一石二鳥である。

 と、いう事で私はリアをお茶に誘い話を聞く事にした。


「リアは身体能力が高いし武器も扱い慣れてるよね? どういった武器を主に使っているの?」

「私の武はお嬢様達にお見せできるような代物では御座いませんし、武器は何でもある程度は使える様に躾けられております」


 躾けられている、か。

 こうやってリアの過去の破片を垣間見る事がある。

 身のこなしや制服に仕込んである隠し武器、そして時折漏れ出る言葉からなされる推測はあまり多くは無い。

 リアも私の前では多少なりとも気を抜く事があるのか、結構物騒な言葉がポロっと出るんだよね。

 生粋のお嬢様なら気づかないか、気づいても恐れるか。

 人の心を、誰かを大切に思う気持ちを抱く事の出来るリアを恐れる必要は無いんだけど、私が『平和ボケ』してるからなのかね?

 正直私の親友は強くて可愛いんだ! と自慢して回りたいくらいなんだけどなぁ。……勿論はしたないからしないけど。


「武を教わっている時点で綺麗も汚いもないと思うよ? ――えぇと、それでも得意な武器はあるよね?」

「持ったいないお言葉に御座います。――小型のナイフを複数扱う事が多少多いのではないかと」

「こんなナイフ?」


 私は先程作ったナイフ……子供の掌よりは大きい、多分大人の掌ぐらいの大きさのナイフを見せて聞いた。

 すると長さ的にはそのくらいだけど、もう少し細身のモノらしい。

 どっちかと言えば速さ重視って事かな?

 子供、しかも女の子だから、特殊な事情がなければ早さ重視になっても納得だけど。


「んー。長さはこれくらいでもっと細身……こんな感じ?」


 私は紙に設計図を描きだす。

 それを見てリアは「確かに、これならば使い勝手がよさそうです」と言ってくれた。

 成程、成程、この設計図を元に作ればいい訳ね。

 私とリアのやり取りを聞いていた黒いのは設計図を見て何処か感心したような顔をしていた。


「『苦無』とか使ってそーだな」

「リアが『苦無』を使う所ってすっごい想像できるんだけど」


 忍者の格好したリアは出来るくノ一って感じだ。

 任務達成率90%以上とか普通にだしてそう。

 

「あの、お嬢様? その「クナイ」とは一体どんな武器なのでしょうか?」

「あ、ごめん。えぇと、この世界にはあるか分からないけど……」


 私は『苦無』を紙の上に描き出す。

 

「『台形型』の組み合わせで『鉄』で出来てて刀剣の亜種って感じかな? 色は基本的に黒色だった、よね?」


 最後は黒いのに向けて言うと図面を見ていた黒いのは「大体んな感じじゃね?」と一応同意みたいのをくれた。

 『苦無』なんて私達は実物を見た事無いしね。

 「忍」「忍者」「間謀」「草」

 どの名称も私が生きている時代には存在しない、失われた言葉だった。

 ゲームや物語の中でのみ生きている存在、それが私達の認識だった。

 実際やっていた事を考えれば「スパイ」とかに分類される気がするけどね。

 あ、あと「暗殺者」とかかな。

 情報を集め、時に戦場を情報で引っ掻き回し裏工作をして戦況を変え、稀に戦場に現れ、時に要人の暗殺から、逆に警護を熟す存在。


「(後世の作り話だっただろうけど、改めて並べると忍者ってあらゆる事のエキスパート過ぎるでしょ)」


 基本的に情報を収集し情報を扱う存在、なんだろうけど。

 けどまぁ戦忍ってのも居たみたいだし、戦場で出てくる忍者もいたんだろうけど。


「この世界に情報を専門に扱う職業ってあるのかねぇ」

「さぁな。少なくとも暗殺者はいんだろ?」

「貴族が警戒する存在の一つとして挙げられている所、いるんだろうね。リア、この世界に『スパイ』――情報を収集し、精査して雇い主に情報を伝えるような職業って存在するの?」


 これって私がリアに任せた事の一つのような気もするんだけど。

 リアは私の質問に少し悩んだ後口を開いた。


「少なくとも情報を専門に扱う【職業】は存在致しません。ただ裏を生きる者達の中には情報を専門に取り扱う者もおります。金のためなら何でもやる輩にとっては情報も商売の一つなのではないかと」

「あー『情報屋』はいるけど『忍者』はいないって事か」

「ある意味「暗殺者」と『情報屋』それに要人警護を纏めた存在が『忍者』なんじゃねぇの?」

「そんな存在いたらびっくりだよ。護衛としては最高かもしれないけど、現実的じゃないと思うよ?」

「だろーな」


 創作の中でしか存在しない『忍』

 だからこそ色々なモノが付け足されてとんでもない存在になってるよね。

 そんな存在、実際いたら超人だよね、どう考えても。


 はっきり言って私と黒いのの会話は軽口の意味の無いモノであった。

 『地球』での他愛無い話って奴だ。

 

 だからリアが後々「この「クナイ」をお作りいただけませんか?」とか言われたり。

 荒唐無稽な『忍』をリアが生真面目に目指した挙句、その類まれな身体能力でモノにしていったり。

 最終的に色々あって私専門の『忍』が生まれたり。

 黒いのと顔を見合わせて「チート」っているんだなぁ、と溜息を付く日が来たりするんだけど。

 この時の私達は知らぬ未来のお話だったりする。



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