第52話・準備は整った。いざ決戦へ
あの覚悟の夜から決戦まで、時間は淡々と、だけど確実に流れていった。
何事も無く、むしろ順調だった。
――胸の蟠りを抱く事が間違っていると判断出来る程には。
暇を持て余してしいる訳じゃない。
私達だってする事が無かった訳じゃないのだから。
私なんて忙しい方だったと思う。
一応今回のパーティーはラーズシュタインのキースダーリエにとって初めてのお披露目が名目だった。
幾ら派閥の人間しかいないとはいえ……と言うか、むしろ派閥の人間のみの方が気を抜けない気がする。
別にラーズシュタインに隔意がある家ばかりじゃない。
お父様だって決して権力を私的行使して悪辣なふるまいなどしていないのだから、敵ばかりじゃないのは確か。
けど貴族らしかぬ考え方とかやり方が貴族第一主義の人間の気に障っているのも確かだった。
私にしてみれば「くだらない」の一言なんだけど、其処にしかプライドを置けない輩にとっては死活問題らしくて、ラーズシュタインの派閥に入っている割には態度が悪い。
むしろラーズシュタインの評判を落とすためにわざと派閥に入ったのかな? と疑うレベルでこっちを見下しているし、雰囲気も悪い。
親がそんなんだと子供にもうつるというか、子供も派閥トップであるラーズシュタインに対して敬意を払わなくなる。
まぁ中には社交界に出た事により視界が広がって親のやっている事を不味いと認識してどうにかしようとしている子供もいるけど。
そういった子供は希少であるとお兄様がため息をついている姿をよく見かける。
お兄様のその姿が、そう言った子供がどれだけ希少であるかの答えのような気がする。
今回はそういったラーズシュタインを見下している家を多く呼んでいる。
これなら普通のパーティーの方が大目に見られるんじゃないかな? って勢いでこっちの粗探しをしてくる輩ばっかりのパーティーである。
少数派であるのだが、招待はされたが良識ある派閥の人達は今回のパーティーに何かあると読んだのか、お父様に事前にお伺いの手紙を出してきたり、遠まわしだけどストレートに裏を聞いてきたり、色々駆け引きがあったらしい。
最終的には納得して傍観してくれるらしいし本当に有難い事です。
派閥の中に良識あるまともな方々が居て本当に良かったと思うわ。
失礼な思考だという事は分かっている。
けど、私にとって派閥の人間って言えば家まで押しかけてきたりする上、子供に対してラーズシュタインへの罵詈雑言を吐き出すか、お母様やお父様に色目を使うか、お兄様を傀儡にしようと擦り寄ってくるか、私を懐柔しようとするか……思い返してもろくでもない人間ばっかりだった。
「派閥の人間=頼ってはいけない人間」って公式があったんだよね。
けどよく考えてみれば、良識ある人達ならば、そんな非常識な言動はとらないのだから、私と会う事自体が無いんだよね。
良識あるまともな大人達は会う機会がない。
そうなると非常識な輩ばっかりが派閥の人間として見かける事になる。
結果として派閥の人間ってこんな奴等ばっかりか、と私が思っちゃったんだよねぇ。
大変失礼な事思ってましたって謝りたいくらいだ。
まぁ謝っても仕方ないし、現時点ではまず会う事もないんだけどね。
つまり、少数の問題行動を起こす存在によってコミュニティ全体が悪い印象を持たれるってよくあるパターンに陥ってました、ごめんなさい。
今回のあれやこれやで良識あるまともな人達もいるって事が分かったから払拭されると思うけど……思い込みを正すのは大変です。
とまぁ、良識ある人達への印象を正しつつ、アホな事をしでかしている人間への評価は更に下降していった。
だって見下し組の面々は少しばかり考える頭が足りないという事も分かっちゃったし。
何でかというと、タンゲツェッテは私のお披露目って名目を欠片も疑っていないから、である。
招待状を受け取ったタンゲツェッテはあろうことか私の婚約者としてラーズシュタイン側として出るとほざいた。
当然ご丁寧に丸め込んで追い返したけど、タンゲツェッテはいよいよ自分がラーズシュタインを手中にしているという戯言を隠さなくなってきた。
どうやらフェルシュルグの報告は一切信じていないらしい……報告しているかどうか自体怪しい所なんだけどさ。
報告していると仮定するとタンゲツェッテは自分が引き入れたフェルシュルグの言葉すら何かしらの理由で聞く耳がないという事だった。
報告していないとなるとフェルシュルグは相当甘いし私に対しての情を抱いているという事になる。
どっちにしろどうよ? って思わなくもない。
結果は変わらないんだけど……変わらないしどうでもいっか。
ともかくタンゲツェッテは私を、というよりもラーズシュタインを手中にしているつもりであるらしい。
我が家の使用人にも主人顔で命令とかしているし。
……あの教育の行き届いたメイドさん達でさえ笑顔が凍り付いて、仮面が剥がれそうになったんだから、相当だよね。
怒りとか色々ひっくるめた心の声が私まで届いてきそうな気がしました。
フェルシュルグのゼルネンスキルは効果を発揮すれば相当厄介な代物であるのは確か、なんだけど。
そうだとしてもタンゲツェッテの振舞いには疑問が残る。
フェルシュルグのゼルネンスキルが私に効いていたとして、私がタンゲツェッテに惚れていたとしても、私がまだ半人前であるという事実は変えられない。
私とタンゲツェッテの関係はよくて婚約者にしかなれない。
結婚は多分私が本当の意味で成人しないと出来ない。
幾ら私に甘いお父様だとしても、そんな事はお許しにならない。
というよりもタンゲツェッテの底の浅さを知っている以上、お父様が私とタンゲツェッテとの結婚に賛成するとは思えない。
なんとか私の目を覚まさせるだろう。
フェルシュルグが本気のお父様に勝てるとは思えない。
そして、本当にどうしようもない、最悪の場合私ごと切り捨てる事で事態の収拾をつけるはずだ。
最後のラインを見極められないお父様じゃない。
つまり幾ら私を落としてもタンゲツェッテがラーズシュタインを継ぐ事は有り得ないのである。
その事に欠片も気づかないんだろうか?
だとしたら随分お粗末な想像力である。
そんな跡継ぎでいいのかねぇ、と思いつつ、そんなタンゲツェッテの妄言を信じているのか、何も言ってこないマリナートラヒェツェの脳内も相当お花畑だと思うしかない。
マリナートラヒェツェは派閥の中では高くも無く低くも無い。
同格の家は沢山あるし、それ故に横の繋がりもある。
とは言え、今のマリナートラヒェツェに期待するのは愚かだとしか思えないけど。
諫めもせず、私を籠絡したと信じ切っているマリナートラヒェツェの取り巻きの家。
それが今回招待した家の大半をしめているのだから、私が相当おめでたいと思ってしまっても仕方ないでしょう?
お父様が何を思い派閥の害になる輩を放置しているかは分からない。
一掃しちゃえば? と思う所、私の性格の悪さも知れるという事かもしれない。
機を見ているって事なんだと思うんだけどね。
脳内お花畑な連中は取りあえず置いといて、計画は今の所大きな破綻無く進んでいる。
必要なモノは創ったし、必要な人に話も通してある。
舞台も用意できた。
私達の最終目標はフェルシュルグの真の姿を暴露させる事であり、お兄様に同一人物であるかどうかを確認してもらう事である。
タンゲツェッテの貴族としては有り得ないあれやこれやに関しては後回しで良い。
最終的にマリナートラヒェツェが無くなる事も考えられるけど自業自得だ。
私にとっては一番の脅威であるフェルシュルグを排除する、そこまでいかなくてもマリナートラヒェツから引きはがす事が出来れば良い。
まぁそれだけなら穏便にお話合いで終わらせる事も視野に入れてしかるべきなんだろうけど、彼はもう一線を越えてしまっている。
中身はどうであれラーズシュタインの令嬢を害し、今もなおラーズシュタインに対して仇を成そうとしている所に与している。
というかぶっちゃけ実行犯だ。
そんな相手と穏便な話し合いもあったもんじゃないって事である。
【属性検査】の魔道具に何かを仕込んだのは彼なんだろうから実行犯である可能性が高い。
それだけで私達が彼を排除する事も許されてしまうのである。
「(そういえば、魔道具を創り出す事が出来たって事はフェルシュルグって錬金術師としても高位の存在なんだろうか?)」
あーでも、お父様は壊れた魔道具を見て「表面を騙す事に労力を注いだ粗悪品だね。これに騙されるなんて僕もまだまだみたいだ」なんて笑っていたっけ。
その時のお父様の笑みはちょっと忘れられない。
思い出すだけで背筋に冷たいモノが……。
恐怖要素はともかく、短い時間だとしてもお父様の目を欺くなんて凄いと思うんだけど……それもゼルネンスキルの応用なんだろうか?
「(有り得なくもないかなぁ。姿を偽る事と魔道具を偽装する事は似ているし。多分彼のゼルネンスキルは偽る事を可能としているんだと思う。あの光精霊の力を借りて“光”を操る事によって)」
私は胸元で手を握りしめる。
コツンと硬いモノに手が当たる。
……少しだけほっとした気がした。
私はもう少しでフェルシュルグと対峙する。
三回目にして最後の対峙だ。
だって今回私達がフェルシュルグを逃してしまえば、お父様に全てを委ねる事になる。
此処まで自由に動ける事がまずあり得ない。
試されているかもしれない、他の思惑があるのかもしれない。
けど私とお兄様は今回驚く程自由を与えられていた。
私達の――殆ど私の発案になってしまったけど――計画に対してお父様達は殆ど反対しなかった。
それどころか全てにおいて手助けすらしてくれた。
だから今私はこうして此処に計画の発案者として居る事が出来る。
そんな自由はこの計画の間だけだっていう事は分かっている。
毎回そんな自由が許される訳がない。
そして今回の計画が失敗しても、リベンジする事は許されない。
……お前にはまだ早かったという烙印を押されるだけ、なんだと思うけどね。
別にこれが切欠で貴族として不適格だと思われる訳じゃない。
もしも今回の件を教材としているのならなおさら。
初めてだから、まだ早かったと思われるだけという結果の可能性も充分ある。
それを屈辱と取るべきか、当然と取るべきか――いやまぁそんな大それた話じゃないのかな?
あまり突き詰めて考えると計画云々の前に貴族恐怖症になりそうだから此処で辞めとくけど。
……何時か、そんな恐ろしい世界に飛び込む事になるんだよねぇ。
忘れよう、計画実行に差しさわりが出る。
ともかく、チャンスは一度。
最初で最後の機会を逃しちゃいけない事だけを考えておけばよい。
「(むしろ普通のパーティーだと周囲の人間には思わせないといけないのだから、そっちの方が大丈夫? と心配しないといけないんだよねぇ)」
必須のダンスは学びなおした。
言葉使いも頑張った。
話題選びに関しては完璧にした方が不審がられる。
あしらう方法もお母様に教わった……詳しかったのは、まぁそこら辺経験豊富なお母様が先生だし仕方ない。
多少の緊張は初のお披露目だと誤魔化せるけど、過度の緊張もまた不審を呼ぶ。
適度に緊張しているフリをしないといけない。
過度もダメだし、緊張しなさすぎもダメって結構ハードルが高い。
ここしばらく家族や先生達以外の前では高飛車、我が儘お嬢様だった私が今度は適度の緊張をしつつラーズシュタインに恥じない振舞いを演じないといけない。
それはきっと……――
「――……相当、難しい」
「何がだい?」
後ろから声を掛けられて、私は少しだけ驚いた心を宥めすかして、呼吸を一つおいて振り返る。
そこには苦笑しているお兄様と軽食を持っているリアの姿があった。
リアは静かにテーブルをセッティングしてくれる。
その間にお兄様は私の頭を撫ぜると向かいに座った。
リアの入れてくれた紅茶を飲むと、その温かさに「ほぉ」と息を出た。
適度に温められた紅茶が私の緊張を解きほぐしてくれた。
そして私はこの時初めて自分が「過度に緊張」している事に気づいた。
そっか、私って意外と緊張してたんだ。
後、多分だけど不安もあるみたいだ。
「……計画に大きな不備がある訳ではないの」
リアの入れてくれた温かな紅茶とお兄様の見守るような暖かい眼差しに私はポツリと心の内を溢してしまった。
こうやって溢してしまえば、無かった事には出来ない。
それ以上に聞いて欲しいと思ってしまったらもうダメだった。
心の内を吐き出してしまいたいという欲求に私は抗えない。
「(私の心も然程強くはないって事なのかな?)――細かい所まで気にしていたら埒が明かないし身動きも取れなくなる」
「そうだね。あれやこれやと端々まで気にしていたら、何も出来なくなるから」
「うん。出来る事はやった、とも思ってる。私達が出来る最大限の努力を惜しまなかった、とは思ってるんだ」
「少し働きすぎなぐらいだったとボクは思うけど、無理をした分の成果は得られると思っているよ」
「だから、特にココを直さないといけないとか、ココは手落ちだったとか、ミスを見つけたとか、そういった具体的な事は無いの。ただ……――」
ただ、漠然とした不安に襲われているだけ。
今回もし失敗したら?
お父様達がフォローしてくれるかもしれないけど、それ以上の何かをしでかしてしまったら?
というよりもフォローしてくれる人ありきの思考こそが問題じゃないんだろうか?
私だけじゃなくてお兄様やリアに何かあったら?
もう計画の決行は間近だっていうのに、そんな漠然とした不安が拭えなかった。
こうやって心の内を吐き出して、ようやく気付いたんだけど、どうやら、色んな事を考えているのは不安を誤魔化すためだったらしい。
今更ながら、誤魔化すためとはいえ、物騒な事を考えていたもんだよね。
脳内とはいえ敵と確定した人間をお花畑と称してしまうとは……自分の性格の悪さを嘆く所かもしれない。
嘆くべきかもしれないと思いつつ、嘆きは欠片も沸いてこないわけだけど。
緊張は多分不安から来るもので、気分が高揚する良い緊張じゃなくて、不安が目を曇らせる良くない緊張なんじゃないかと思う。
緊張に種類があるなんて私が勝手に思っている事だけど。
「私が緊張してガチガチじゃ上手くいくものも上手くいかないのは分かっているんだけど」
「ボクにしてみればお気楽にしているよりも緊張感を持っている方が成功すると思うんだけど」
「緊張の種類による、かな? 多分漠然とした不安が余計な緊張を呼んで失敗する道筋しかないように考えちゃう、感じかな?」
自分の中の感情を整理して人に伝えるのは難しい。
漠然とした不安だから余計に。
だから言い切れないし、相手に伝えきれないもどかしさも抱いてしまう。
どうすれば通じるのかな? と思っているとお兄様は片腕を机について、そこに頬をあてた。
普段礼儀をきちんとしているお兄様にしては珍しい行儀の悪い仕草に驚いていると、お兄様はニィと悪戯気に笑いだした。
珍しいお兄様の姿に私は何も言えなかった。
「ダーリエ。ボクは誰だい?」
「え? ……私のお兄様、です」
「そう。多分ダーリエの方が精神的には成熟しているし、あらゆる面でボクはダーリエに劣っているという事は分かっているよ」
「そんな事ありませんわ!」
急に何てことを言い出すんですか、お兄様!?
そんな事思った事もないんだけど。
思わずテーブルを叩いてしまう。
淑女としては問題だけど、目を瞑ってもらいたい。
お兄様がそんな事を考えていたという事実の方が問題だから。
正直自分の不安なんて吹っ飛んでしまった。
まさか、これが狙いで冗談でも言ったのかな?
……ううん、悪戯気ではあるけど言っている事は冗談には聞こえなかった。
どうやってお兄様の考えが間違っていると分かってもらうか悩んでいると、笑い声が部屋に響いた。
笑い声はお兄様からのモノで、大きな声で笑うお兄様という、これまた珍しい光景に私は言葉を失ってしまう。
「其処に食いつかれるとは思わなかったよ。……けどそれは紛れもない事実だろ?」
「それに関しては後日、懇々と説明させてもらいます」
「怖いなぁ。……ともかく、ボクよりもダーリエの方が頼りになる訳なんだけど、それでもボクが兄である事は確かだろ?」
「それも色々言いたい所ではありますが……それで?」
「だからさ。ダーリエは一人じゃないんだよ。ありふれた言葉で悪いんだけど、ね。……計画をボク等は知っているし、計画の何処かにに穴があった実行中に露見したとしても、それこそダーリエが力及ばないと思う所があったとしてもボク等はフォローする事が出来るんだ。そしてそれでも失敗してしまった時、それはボク達全員の失敗でもあるという事になる。なのに、ダーリエはどうして自分の身じゃなくてボク達の安全ばかりを気にしているんだい?」
お兄様の声は軽やかだったけど、何処か寂しそうな声にも聞こえた。
「責任の全てをダーリエに押し付けて、一人高みの見物をする気はボクには無いんだ。だから一人で気負わないでくれ……ダーリエ。お前は一人じゃないんだよ」
ありきたりと言われればそうだと思う。
私の不安が全て解消された訳でもないし、根幹の考えが変わった訳でもない。
けど……けど、私は今、お兄様の言葉に安心を覚えた。
不安を抱えて、計画の中核部分を考えた人間として弱音を表に出すなんていけない事だと思っていた。
私達は貴族だから。
いずれ責任全てを負う立場になる。
それが上に立つ人間としての責務だと私は思っている。
けど、今この時私は全てを背負って雁字搦めになる事が本当に良い事なんだろうか?
全ての責任を負い笑って見せる、なんて言い切る方が格好良いのかもしれない。
けれど、今の私にはその重たい責任を背負う事なんて出来ない。
グラグラした足場にメッキを塗って「大丈夫だ」と強がっている状態の私が見栄を張って何になる?
これは「逃げ」なんだろうか?
それとも「人を頼る事の出来る強さ」なんだろうか?
前を向くとお兄様が私をじっと見つめていた。
お兄様は私の事を心配して下さっている。
弱音も吐かずに不安で雁字搦めになっている私の態度に寂しがって下さっている。
振り向くとリアが私をじっと見ていた。
リアは私の事を信じてくれている。
何があろうともリアはずっと私と共に歩んでくれる。
私は独りじゃない。
全部を一人で成して、弱みも見せずに「大丈夫」と笑う強さは今の私には必要ない。
「(これはきっと「逃げ」じゃない)」
不安は消えない。
私達が負ける可能性も消えた訳じゃない。
子供である事を言い訳にできる範囲を超える可能性も充分にある。
けど……一人じゃない。
「お兄様。リア」
「なんだい、ダーリエ?」「何ですか、お嬢様?」
暖かい眼差しのお兄様とリアに私も微笑みを返す。
「ありがとう。私の味方でいてくれて」
二人は私の言葉に少し驚いたみたいだけど、直ぐに同じように笑ってくれた。
「当たり前だよ。ダーリエはボクの大切な妹なんだからね」
「私は何時までもダーリエお嬢様の味方に御座います。お嬢様は私の大事な方なのですから」
うん、腹を括ろう。
味方が居るのだから、私は独りじゃないのだから。
私達は負けない、絶対に。
「――絶対に成功させる」
あえて言葉にするとお兄様とリアが微笑みかけてくれた。
二人の御蔭で私も自然に笑う事が出来た。
だからこそ私は心を落ち着かせて決意を胸に残りの時間を過ごす事ができたのだった。
さぁ決戦までの時間は後残り僅かだ。
いざ、決戦へ……なんてね?
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