20編

(私は…私は…

どうすればいいの?見たくないわ。

自分の未来の姿なんて…。怖い…。)


「…麗華…麗華!どうしたの?」

「…。はっ!何でもないわよ。さっさと

あのドラゴンに復讐しに行きましょ。」

麗華がまた未来の世界で何かに

悩んでいる様子だった。

(少し心配だな…。

この中級ボス討伐が終わったら、

何かしらのサポートはしないと。)


「胡桃、麗華!置いてくぞ。

次の中級ボスの情報も

確認したいんだが。」

「あ、ごめんね。

未来の中級ボスは時生さんによると

攻撃力とHPが高いパワー型の

ドラゴンらしいよ。

属性は無いみたい。」

「パワー型かー。お兄ちゃんの守りが

必須になってきそうだね。

属性が無いなら、私の魔法や

胡桃ちゃんの攻撃は効きにくいのかな。」

「そうだな。

とは言っても、俺にも守りの限界がある。

やっぱりここは未来のキーパーソンである

麗華が活躍するべきじゃないか?」


「私も覚悟はしてたわ。

今の所、不動の舞と癒しの舞で

麻痺させたり、眠らせたりして

演舞爛漫えんぶらんまんで状態異常のターン数を

増やすことは出来るけど…。

決め手には欠けるわね。

やっぱりさっきレベル40になった時に

習得した惑わしの舞が役に立つのかしら。

新たに混乱状態に出来るみたいよ。」

「混乱状態か…。

使い所によっては今回のタイプの

ドラゴンには相性がいいかも。

あ、着いたよ。」


私達はストレングスドラゴンの巣窟に

辿り着いた。

早くも身の毛もよだつ

禍々まがまがしい雰囲気を放っている。

「皆、構えて!」

「ギャオオオオオ!」


私達の目の前に麗華を襲った

ストレングスドラゴンが舞い降りた。

ストレングスドラゴンは

私達を見るや否や早速突進してきた。

「皆、回避して!」

「ゴォォォオオ!」


「あれを食らうと一溜りも無さそうだな。」

「だね…。まずはドラゴンの動きを止めるね。

アンデットカース!」

地面からボコボコとアンデット達が

現れてドラゴンを足止めしている。

しかし、ドラゴンの怪力でアンデット達は

跳ね飛ばされている。


「効かないわね…。

演舞爛漫えんぶらんまん!からの癒しの舞!」

ドラゴンは眠り始めた。

「美春と胡桃!今だ!

俺も攻撃に加わる!地割れ!」

「アンデットカースからのリバイブ!」

「どの属性が効くか分かんないけど…。

1番威力の強いファイアソード

3連撃からの突き!」


雷太と美春と私の集中攻撃でも、

ドラゴンのHPは3分の1減った程度だった。

「やっぱりHPが高いだけあるな…。

麗華の状態異常が

攻略の要となってくるのか?」

「雷太!ドラゴンが起きたよ!」


集中攻撃が止むと同時にドラゴンが

起き出してしまった。

ドラゴンは豪快にボディを地面に叩きつけ、

大きな振動を放った。


「わわっ!揺れるね。

まずいよ!麻痺になっちゃった。」

「そんな時は俺の出番だ!

トリックシールド!」

トリックシールドの効果で

雷太が麻痺状態になっている間は

相手も麻痺状態にすることが出来た。

しかし、麻痺状態も解けるのは

時間の問題だった。


「今こそ、私の出番よ。

演舞爛漫えんぶらんまんからの惑わしの舞!」

麻痺状態に引き続き、ドラゴンを混乱状態に

させることに成功した。

ドラゴンはその場を動けなくなると同時に

訳が分からなくなり、自分を攻撃し始めた。


「凄い!ドラゴンが自分を攻撃し始めたよ!」

「元々攻撃力が高いから、混乱状態になって

自分を攻撃するとそれだけ

HPの減りは早くなるね。」

「このまま一気に攻めるぞ!」


こうして混乱状態が効いたドラゴンは

凄い勢いでHPを減らしていき、私達の

集中攻撃で見事討伐成功に至った。


「やったぁ!今回もドラゴンを倒せたよ!」

「今回は麗華の大活躍だったな。」

「やっぱり新しく習得した惑わしの舞が

攻略の要となったね。」

「私も私を襲ったドラゴンを

倒せてスッキリしたわ。」

こうして私達は未来の中級ボスである

ストレングスドラゴンの討伐に成功した。


「後は現在の中級ボスか…。

どうやって現在まで行こうか?」

「私から提案が有るんだけど、

一つ良いかしら。」

今回大活躍した麗華から提案があった。

しかし、その提案は

衝撃的なものであったのである。

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