15編

これまでに何十回と

モンスターと戦ってきた。

お陰でレベルは30まで到達し、

スキル振りも大分感覚を

つかめるようになってきた。

レア装備もそこそこではあるが、

まともな装備が揃ってきたので

MAXまで強化してみた。


「いやー。大分スキルも強化できたし、

レベル上げのお陰で能力値も増えたよね!」

「レアアイテムもそこそこ揃ってきたし、

MAXまで強化して装備をすると

今までよりも敵の攻撃を

受けにくくなって来てるわね。」

「武器もレア度が高い奴を使ってるお陰で、

大分楽にモンスターを

倒せるようになってきたよな。」

皆、それぞれスキルや能力、

装備を強化したことで

モンスターとの戦いが楽になってきて

いるのを実感しているようであった。


「これなら結構強いモンスターが現れても

十分に戦えそうだよな。」

雷太が珍しく楽観視したその時だった。


明らかに強そうな禍々しい雰囲気をまとった

巨大な龍のようなモンスターが現れたのは。

「皆、危ない!」いち早く龍の存在に

気付いたのは麗華だった。


しかし、麗華がモンスターの前に

立つと同時に龍は強力な炎の攻撃を放ち、

攻撃は麗華を直撃してしまった。

「麗華!」

3人が口を揃えて叫んだ時には

時すでに遅しであった。


信じたくはなかった。しかし、麗華の

HPは0になっていた。

「麗華!しっかりして!美春も早く蘇生の

魔法を!」

私はぐったりとなった麗華の身体を

抱えながら美春に指示する。

「…。ごめんね、胡桃ちゃん。私のレベルでは

まだ回復しか出来ないんだ。

蘇生はできない…。」

「嘘だろ?アイテムの中に蘇生できるのは

無いのか?!…。

そんなものあったらとっくに

見つけてるか…。」


「…。」

静寂が辺りを包んだ。

麗華を攻撃した龍は

いつの間にか居なくなっていた。

(麗華が死んだ…。嘘でしょ?

嘘だと言ってよ!

4人揃って無きゃダメなの!

昔からこの4人でずっと

これからも一緒に

居られると思ってたのに…。)


頭の中で麗華との思い出が巡った。

憎まれ口を叩きながらも、私達とずっと

一緒に居てくれた友達。

喧嘩も多かったけど、

雷太とは違う同い年の同性の友達。

麗華の裕福さが羨ましかった。

暖かい家庭に産まれて、お父さんと

お母さんに大切にされてて…。

私なんかが持ってないものを

いっぱい持ってたのに…。


そんなことが頭をよぎったその時だった。

残った私達3人が不思議な光に包まれ、

何と異次元の扉が開いており、その中に

吸収されて行った。

(こんな絶望の中、何処に行くの?)

そう思いながら、目を閉じた。

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