約束の円陣、仲間たちの集結

 東の国、戦士ギルドにて。


「師匠師匠! ついにこの時が来やがったぜ!!」

「――――――来たか」


 床に敷き詰めた小石の上で座禅を組む男。騒々しい弟子の乱入に、片目を開けて出迎えた。予感があった。剣士は立ち上がる。


「師匠が言っていた、あの勇者と、ついに旅だつんですね!」

「ああ、果たして俺はあいつの剣になれるほど強くなったのだろうか」

「師匠が勝てない相手なんていませんよ!」

「莫迦め。いつも言っているだろうに――世界は、広い」


 そう言って、剣士は大業物を手に部屋を出る。


「しばらく、留守にする」



――――

――




 南の海域、海賊島。


「お頭お頭! てえへんだああ!!」

「んだよ騒々しい……」


 潮風でくたびれた海賊服。桜の海賊団が根城としている鍾乳洞奥地。そこで、大柄の女が天然の岩椅子にふんぞり返る。


「例の勇者がついに旅立ったってよ!!」

「そいつはてえへんだああああ!!!!」

「お頭あああああああああああ!!!!」


 跳躍で鍾乳洞をぶち破った女海賊。彼女の脚力ならば、海を走るなど容易のこと。


「強くなったあたしを見せてやるよ、ツヨシ!!」







――――

――




 西の王国、最前線。


「おや、死んでしまいましたか」

「教皇様……」


 唯一生き残った僧兵が、焼け焦げた聖女の亡骸を抱いている。簡素な修道服を着た女教皇が手をかざすと、僧兵の火傷が一秒で全快する。


「これが、教皇様の奇跡」

「ただの魔法ですよ。この程度を奇跡などとおこがましい」


 そして、歌う。光が、死屍累々の戦場跡に降り注いだ。


「教皇、様」

「驕りましたね。聖女などという肩書きに慢心でもしましたか?」


 聖女、そして灰になった僧兵たちが肉体を再生していく。まだ焼け死んでから時間が経っていない魂は、辛うじて肉体に繋ぎ止められた。


「でも、みなさん本当に頑張りましたね。勇者の神託が下った今、私は不戦の戒めを解きます。今行くからね――――ツヨシ君」



――――

――




「来たか」


 勇者ツヨシは笑みを浮かべる。十年という歳月は、人を変えた。だが、変わらないこともあるはずだ。かつての約束が揺らいでいなかったことに、胸を熱くする。


「みんな!」

「おう、ツヨシ」

「へ、ツヨシの奴がいっちょまえになりやがって!」

「⋯⋯ツヨシ君、私も頑張ったよ」


 ケンジは剣士に。

 ブトカは武闘家に。

 ケンシャは賢者に。

 そして、ツヨシは勇者に。

 みんなで円陣を組んだ。あの約束の日のように。



『剣皇ケンジ』

体力:999999

攻撃:99999

防御:82563

魔力:3299

俊敏:91670


『海賊頭領ブトカ』

体力:999999

攻撃:99999

防御:22089

魔力:0

俊敏:99999


『女教皇ケンシャ』

体力:999999

攻撃:10430

防御:98743

魔力:99999

俊敏:23104



「今こそ約束の時。魔王を――倒すぞ」



『信託の勇者ツヨシ』

体力:999

攻撃:99

防御:99

魔力:99

俊敏:99


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