お前は俺の側に居ろよ

俺の上に跨り、腰を下ろしている恵梨香。夏場ということもあり、服は薄着。

それに乱れるように貪りあったので……服がはだけてしまい……。

綺麗な白肌が露わになっている。


「ねぇ……ユウくん。聞かせてよ、ユウくんの気持ち」

「お、俺は……」

言葉を出そうとするが上手く出てこない。

でも一つだけはっきりとしたことがある。

「悪いが、俺は姫乃が大好きだ。だから、恵梨香の気持ちは受け止められない」

明るかった彼女の瞳が下の方へと向き、一気に申し訳ない気持ちになってしまう。だが、しっかりと自分の気持ちを伝えねばならない。

「そっか」

彼女の返事はあまりにもあっさりとしていた。

まるで、どうでもよくなったかのように。

「でもさ、別にいいんだ。わたしは絶対に諦めるつもりはないから」

「言い難いが、俺はずっと姫乃のことが好きだと思うぞ」

「それでもだよ。ユウくんがわたしのことを別に嫌いになってもいい。ただ、わたしはそれでもユウくんのことをずっとずっと好きでいたいの」

「……後悔することになるかもしれないぞ」

「それでもいいの。やっぱり、自分の気持ちに素直になりたいから。どんなに忘れようとしてもずっとずっとユウくんのことを考えてしまうんだもん。だからさ、今後もわたしはこの気持ちが消えるまではユウくんのことを好きでいてもいいかな?」


女の子に好きでいいかと聞かれ、別に断ることはない。

むしろ、嫌いになれと言われても困るだろうし。

でもさ、こんなにも自分が愛されていたのかと改めて思った。


「あぁ、いいよ。その気持ちが消えるまで思う存分に好きでいてくれ」

もうこんな言葉しか出てこなかった。

本来ならばもっと強く拒否するべきなのだろうか。

でも、俺はそんな気になれない。

だって、俺の気持ちは完全にラブになっていたからだ。

だけどそのラブって気持ちの中にやましい気持ちなどはない。

ただ、本気で愛している。それだけだ。


「やったぁー。じゃあ、わたしは今後も身勝手だけど……ユウくんのことを愛し続けます」

正直さ、勝手に好きでいつづけてもいいですかとか言われるのって胸にグッとくるものがある。というか、そんなことを言われて、引き離す言葉をかけられるほど俺は強い人間ではないみたいだ。

まぁ、そんなことはどうでもいいか。

彼女がしっかりと自分の気持ちを伝えてくれた。

ならば、次は俺の番だろう。


「……恵梨香、多分俺はラブみたいだ」

「……え? それって……」

「本気だよ。俺は恵梨香のことがラブの意味で好きだ」

顔を真っ赤にさせて、あたふたし始める恵梨香。

何だか驚き方がぎこちなくて物凄く可愛い。

「それってつまりはわたしと子作りしてもいいよーってこと?」

「あのなー飛躍しすぎだ!」

「あはは、わたしとしたことが……。で、でもラブなんでしょ?」

純粋無垢な瞳で俺に尋ねてくる。

「あぁ、ラブってことに代わりはないよ。恵梨香は俺にとって、掛け替えのない存在ってことがさ」

「じゃあ……姫乃ちゃんとわたしだったら……どっちがラブ?」

「選べない」

「えー。選んでよー」

「選ぶ必要がないなーって。でも、どちらか一人だけ選ぶなら、俺は多分姫乃を選ぶと思う」

「ふーん、何か悔しい」

俺の腕を弱い力で摘んでくる。ちょっと怒っているようだ。嫉妬なのだろうか。


「あ、それよりもユウくん! 身体の方は大丈夫なの?」

「まぁー今のところは大丈夫だぞ」

「そっか。それは良かったよー」

「と、言っているがそんな病人を襲ったつもりは大きいぞ」

「襲ったって言い方だよー。これはただの愛の確かめ合いだよー」

「もう二度とやめてください」

特に、姫乃がいる前では。俺の身が危ないと思う。

「嫌。もっともっとユウくんとイチャイチャしたい」

「あのなー」

「これはただのスキンシップだよ! わたし達、幼馴染なわけじゃん?」

「まぁー幼馴染だけど、それがどうしたんだ?」

「最近は幼馴染離れというのが流行っているそうだよー」

「何だよ、その幼馴染離れって」

「その言葉通りの意味だよ。幼馴染同士の仲が悪くなるみたいな?」

「へぇー。でもそれって結構あるあるじゃないのか? 兄妹間とかでも、仲が悪いーみたいなことは多いし」

「じゃあ、ユウくんはわたしとの関係がなくなってもいいのー?」

「それは嫌だよ」

「でしょー?」

「うん」

「だからね、幼馴染離れを解消する為には、過度なスキンシップが大事なんだってて。ああ、ちなみにこれは人間関係を良好にする為には誰にでも有効らしいよ」

「どこ情報だよ! それ!」

「楓ちゃんから聞いたよ」

おいおい、俺の妹は何を言っているのだろうか。

完全に嘘に決まっているだろ。そんな幼馴染離れという単語は俺は初めて聞いたぞ。恵梨香は何でも信じやすいタイプだからなー。

素直っていうべきか。それとも、ただのバカというべきか。

それだけは改善させた方がいいな。確実に。

というか、だからこそ放っておくおくことができねー。


「おい、恵梨香」

「んー? どうしたのー?」

「お前は俺の側にいろよ」

俺が見える範囲なら絶対に助けてやるからさ。

「えええ? それって告白?」

「まぁ、告白みたいなものだな」

「で、でも……姫乃ちゃんが」

「姫乃は姫乃で心配だが……恵梨香、俺はお前が心配だ」

「……そ、そんなにー?」

「ああ、だから俺の側にいろよ。守ってみせるから」

「うん! 一生、ユウくんの近くにいるー」

「……それは言い過ぎだ!」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます