ライクオアラブ その3

「あ、そういえば……タオル置いておくの忘れてた……」

俺は脱衣所へと向かうことにした。そして一応ノックをする。

だが、全く返事はない。どうやら居ないと見て大丈夫そうだ。

または聞こえていないのか。


「おーい。恵梨香、いるかー?」

だが、返事はない。どうやら脱衣所にはいないみたいだな。

俺はガラガラとドアを開け、脱衣所へと入ることにした。

もちろん、そこには恵梨香の姿はない。でも、彼女がここにいたという残り香があった。甘い甘い匂い。それが恵梨香の匂いである。

見えるのは風呂場にいる恵梨香のシルエットのみ。

それに鼻歌も一緒に聞こえてくる。だが、何を歌っているのか、それは判別することはできなかった。でも、ご機嫌は良さそうだ。


と、ここでシャワーの音が止み、壁一枚向こう側から声が聞こえてきた。


「こ、これ……いつもゆうくんが使ってる。石鹸だよね……?」


「も、もしかしてこれって間接的にユウくんとわたしの身体が密着してるようなものだよねー……えへへ」


「あ、それにこっちにはボディタオルが……こ、これも使っていいよね?」


「で、でもこれってユウくんが毎日お風呂場で使っているってことでしょ……っていうことは、下の方にも使っているってことで……だ、ダメ。わ、わたし変なことを考えてる」


ゴシゴシと泡を立てる音が聞こえてくる。

俺は息を殺して彼女の声を聞いておくことにした。

多分、このまま脱衣所を出ると色々と気づかれると思うし。

それに本人自身も怒られるとか何やらを言っているので、俺がこのまま引き返すことはできない。


「……で、でもユウくんの下の方と、わたしの下の方が……間接的に触れ合ったら……赤ちゃんできちゃうかな? なーんてね、そんなことないよね?」


「だ、だけど……もしも、赤ちゃんできたら責任取ってもらえるかなー? それだったらそれでわたし的にはありっていえば、ありだけど……」


「問題大アリだよォー!!」


助け舟を出してやるべきか。それとも黙っているべきか。

俺にはさっぱり分からない。だが、恵梨香はこの一連の流れを聞かれたと知れば、絶対に恥ずかしいと思う。だから、俺はこのまま時間が過ぎるのを待つしかないだろう。ってか、このまま身動きが取れない。

多分、今動いたら確実に彼女にバレると思うし。


「大丈夫、大丈夫だよ。わたし! これには何も深い意味はないよ。だから使おう」


磨りガラスに映る影が身体を洗い始める。

満遍なく動く手を見ながら、恵梨香って結構隅々まで丁寧に洗うんだなと感心してしまった。って、俺は何もじっくりと観察しているのだろうか。


「なんだか、ムズムズしてきた♡ で、でも、ここ……ユウくんのお家だよ?」


な、何を言ってんだよ! 恵梨香!

何をする気なんだよ。ナニを。それは流石にまずいって。


俺は慌てて、ここで聞いたことは全て夢だと思い、脱衣所から逃げようとする。

だが、洗濯機の角に足をぶつけてしまい……。

ガクッ、と大きな音を立ててしまった。

その声に反応するように、恵梨香の身体がびくんと動いた。

そして恐る恐る声が聞こえてきた。


「だ、誰か、そ、そこにいるのー?」


し、しまったー。どうしよう。

このままでは本当にまずい。

俺は身を屈めることにした。だが、これでは何の意味もないだろう。


「ゆ、ユウくんがいるのかなー? で、でもユウくんが来るとは思えないし……。も、もしかして、幽霊?」


恵梨香の声が少しだけ震えている。

どうやら幽霊類には耐性がないらしい。昔から嫌いだと言っていたもんな。


「……き、気のせいだよ! さっきのはわたしの耳の間違い! だ、だから……これはお化けとかのせいじゃないよ……うん。絶対に!」


自己暗示をかけるように、恵梨香は呟いた。


「うんそうだよそうだよ。これはお化けなんかじゃない……」

何度も何度も呟いて、鼓舞してるようだ。


「よし、それよりも続き続き……」


シャワーのノズルが下の方へと動き、彼女の股辺りへと移動した。


「さ、最初は前戯が大切だよね」

その言葉通り、ノズルは元の位置へと戻った。

その代わりと言っては何だが、白くて細い腕がスルリと彼女の股の方へと伸びていく。

「ゆ、ユウくん……だ、ダメだよ。こんなところで、そ、そんなこと」

「……え? だって、ユウくんには姫乃ちゃんがいるじゃん。そ、それなのに……わたしと……って絶対にダメだよ」

「……わ、わたしじゃなきゃダメ?」

「……本当?」

「で、でも……きゃあ、ユウくんわたしのおっぱいがそんなに好きなんだー」

それと同時にもう片方の手がスルリと胸の方へと移動し、揉みほぐしていく。

大きくも、小さいもない胸がたぷんたぷんと動いているのが、分かった。

それにピチャピチャと水の音が聞こえてくる。

「ん? 男の子はみんなみんなおっぱいが大好き? そっか。じゃあ、もっと触っていいよ。姫乃ちゃんにできないぐらい、もっと激しく触っていいよ」

その声に反応するように、胸をほぐす速度が一段と早くなった。

それと同時に胸のたぷんたぷん音もさらに響いてくる。

「ん♡ やっぱり、ユウくんの手って、大きくなったね。それにとっても頼もしくなった。子供の頃は一緒ぐらいの大きさだったのに……」

「……ん、ユウくん。か、噛んじゃダメだよぉ……あ、ああ♡」

「え? ユウくん……もう、わたしの中に入れたいの?」

「だ、ダメだよー。そんなこと。赤ちゃんができたら、どうするのー?」

「えええ、わ、わたしと結婚してくれるー? ほ、本当ー?」

「……や、約束だよ。もしも嘘をついたら、わたし……許さないよ」

「ええ、四つん這いになってほしい? そ、そんなことできないよー」

そんなことを言いながらも、恵梨香が四つん這いになる姿が見えた。

「……ユウくん……入れちゃうの? や、優しくしてね」


その後も恵梨香のイチャイチャ妄想は続いた。

俺は身動きが全く取れないし、おまけに声を押し殺して、彼女の欲が鎮まるのを待つしかできなかった。だが、彼女が本気で俺を思っていることだけはしっかりと伝わってきた。

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