ライクオアラブ その2

恵梨香は脱衣所の鏡を見ながらポツリと言葉を吐いた。


「……ユウくんのバカ! これ一応勝負下着なんだよ! それなのに何も言ってくれないし! でもユウくん。緊張してた。わたしのこと……女の子と思ってくれてるのかな?? これって脈アリ?」


鏡の中の自分に問いかける。しかし、返事はいくら待っても返ってはこない。


「そんなにわたしって魅力ないのかな?」

扇情的なポーズを取り、自分を改めて客観視してみる。


「そんなに悪くないと思うのに……それなのにユウくんは……もう、バカ!」


恵梨香は投げやりになり、ブラとパンツを脱ぎ捨て洗濯カゴに入れる。

そして気づく。そこに愛しの人のパンツがあることに。


「こ、これってユウくんのパンツだよね……?」


左右上下に頭を動かし、誰も見てないことを確認。

あと、鍵がしっかりと掛かっていることを再度確認。

いつでもユウくんが入ってこれるように、入る前に鍵は外すけどね。


「こ、こんなことをやってはいけないのよね?」

口ではダメと分かっている。

だが、身体は正直だった。もう、自分の気持ちに嘘はつけなかった。

少しずつ洗濯カゴの中に伸びていく手を止めようと頭の中ではしている。

でも、身体が勝手に動いてしまうのだ。

それに心の中で彼を思う気持ちが溢れて、溢れて止まらない。


恵梨香はそっと布切れを掴み、自分の顔を近づけた。

男性らしい汗の匂いと共に、自分が好きな匂いがそこには詰まっていた。


「ユウくんの……匂い」

鼻腔をくすぐる匂いに恵梨香の頭の中は真っ白になっていく。


「ユウくん……わたし、大好きだよ。で、でも……ユウくんには姫乃ちゃんがいる……でも、わたしはユウくんが好き」


「諦められないよ。諦めきれないよ。だって大好きだもん……」


息を上げ、さらに匂いを堪能する。一種の媚薬のようだ。

ユウくんの匂いを嗅いでいるだけで、心の中が晴れ晴れとなっていく。

一個ぐらい盗んでもバレないかな?

そんな邪なことを考えてしまう恵梨香。

もしも家に持って帰れるならば、ユウくんコレクションに入れておこうと決意した。

でもそんな窃盗のようなことはできない。

だから思う存分に恵梨香は匂いを嗅ぎ、自分だけの思い出にすることにしたのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます