お見舞い その2

「恵梨香……悪いな。何でもかんでもお前に任せっきりで」

「ううん、別に良いの。それにもうお駄賃はもらっていうか……」

恵梨香の顔が急に赤くなり、身体をモジモジし始める。

「恵梨香、トイレはあっちだぞ」

「……トイレじゃない!」

「あ、違うのか。じゃあ、どうしたんだよ」

「もうー。ユウくんのばか」

そのまま恵梨香は顔を真っ赤にさせ、プリプリして台所へ戻っていった。


「マスターは女心を理解してない」

「だって男の子だもん。わかるわけないじゃん」

「姉さん、よだれダラダラだよ」

「仕方のないことさ。だって、自分の好きな殿方の家に上がっているのだぞ。ヨダレが垂れるのは当たり前だ!」


何、そのリアクション! 姉妹持ちの主人公の家に友達がやってきて、「それでは早速下着の確認でも行くか」みたいな潔さは。

考え方がただの男子高生の性欲と一緒だ。


「真梨先輩って本当に残念系ですよねー」

「ううー。残念系だと!? 私をこれ以上弄んで楽しいのか。ユウヤくん。キミがそのようなプレイを望むのであれば、私は大丈夫だ。私はキミのために尽くすとしよう」

「迷惑なので丁重にお断りさせていただきます」

「でも本当に姉さんは残念系よね。本性を知っている人には好感度ダダ下がりだけど、普通にしてればただの美人なのにねー」

「真梨は可愛い。それに巨乳。紗夜とは大違い」

「ねぇ、今何かいったかしら? レナ」

鬼のような形相でレナを睨みつける紗夜。

「こ、怖いよー。マスター」とレナが抱きついてくきた。

俺はそれを子供をあやすように、よしよしと撫でてやった。

「今のはお前が悪いぞ、レナ。如月は胸も小さければ、短期で横暴な奴だから。それを理解して、発言しなかったレナ。お前が悪いんだ」

「そっかー。紗夜は短期で横暴。おまけに貧乳だから仕方ないのか。悪かったな、紗夜。謝るよ」

「アンタら、本気で殺すわよ? それにレナ、アンタ絶対に謝る気ないだろうが」

「レナちゃんもユウヤくんも。それ以上言ったらダメだぞ。紗夜ちゃんはね、結構気にしているのだから」

「ね、姉さん……」とちょっと意外と伝えたいかのように紗夜は言葉を漏らす。

「ごめんな、如月」「ごめんなさい、紗夜」

「何か調子は狂うわ。今日は一段と」

「あ、それよりさ。紗夜ちゃん、私にはないの?」

「え? 何が?」

「もちろん、お姉ちゃん。助けてくれてありがとうって」

「そういうところが姉さんの残念ポイントよね……」

「ええー何その残念ポイントって。ちなみに私はどのくらい?」

「とりあえず、100点ぐらい?」

「それだけ私を見てくれているということか。ありがとうね、紗夜ちゃん。やっぱり、紗夜ちゃんはお姉ちゃん大好きだよねー。よしよし」

真梨先輩が紗夜の頭を撫でる。

「……ち、違う」

「いいのいいの。お姉ちゃんが大好きで大好きで仕方ないのに、お口の方は正直になれないのをしっかりとお姉ちゃんは理解しているんだから」

「もう何も言い返す言葉が見当たらない……」

「でも残念ポイントか。逆にそこを視点を変えて考えてみるのはどうですかね?」とアイディアを出しみることにした。

「視点を変えるって具体的にどういうこと?」

「如月はマイナスで考えすぎってこと。プラスで考えてもいいんじゃないかなってさ。例えば、僕は友達が少ないってあるだろ。視点を変えれば、少数精鋭で仲の良い友達ってことみたいな」

「おお! それは良いアイディアだ! ユウヤくん!」

「流石、ボクのマスター! マスターは最強!」

「たしかにそれは一理あるわね……」

「でも具体的にどうするのよ、姉さんの残念ポイントは異常よ。他人の髪を採……」

「紗夜ちゃん、ちょっと口を止めようかね」

「マスター、ボクの残念ポイントってなに?」

「うーん。レナの場合は確実に中二病という要素だな」

「ボクは中二病じゃない。本当に来たる日は来るんだよ!」

「その時点で既にアウトね」と仕返しと言わんばかりに紗夜が口撃する。

「で、それをどのように変えるんだい?」と真梨先輩。

「レナの場合は、独創的って感じか?」

「なるほどね」「そういうことか」

「……ボクは独創的だったのか。クックック、流石はボクだね」

「で、それを姉さんにも当てはまるわけでしょ?」

「まぁーそうだね。真梨先輩の場合は……性格が多少難ありだけど、それは親しみやすさを持っているなーとか。元々、完璧超人的な一面があるけど、中身はちょっと残念みたいな。逆にこれでもっといつも冷静沈着な人だったらちょっと近寄り難いかなーとか思ってしまう」

「一理あるわね」

「マスター、頭良い」

「流石はユウヤくんだ。でも本当にその通りだと思うよ。でも、それも全てはユウヤくんがいてくれたおかげだ。私はキミのおかげで……」

突然、真梨先輩がしおらしくなってしまった。

だが、俺は軽くスルーする。

「恵梨香ー。カツ丼はまだかー?」

「もうちょっとー。でもすぐにできるよー。今から、カツを揚げるところー」

台所の方から、油のばちばちする音が聞こえてきた。

うおーこれは食欲を唆る唆る。

カツ丼が待ち遠しい。

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