もしも学級委員がペットだったら その1

(番外編ということもあり、世界観崩壊やキャラ崩壊が度々起きます。あくまでも番外編として楽しんで頂けたら幸いです。作家のやりたい放題書いてます)


 ピーンポーン。


 深夜帯には聞き慣れない音が鳴り響く。こんな時間に一体誰が。


 そんな気持ちを抱きながら、俺は玄関へと急いだ。


 それにピーンポーンと鳴らす度に、聞き覚えのある声が聞こえてくる。


 「さっさと開けなさい。真中!」


 ドア越しにいる人物に急かされているので、ドアスコープを覗く前に開けてやることにした。


 そこにいたのは、制服姿の如月紗夜だった。


 俺のクラスの学級委員にして、俺の隣の席に座る女子生徒。


 黒髮ロング。そして、キリッとした瞳。


 人を何人かを殺したことがあるような威圧感だ。


 多分、夜な夜な街に繰り出す悪い奴等を正義の元に抹殺してそうだ。


 って、待て待て。何を俺は思っているのだ。


 ど、どうして……ここに如月がいるんだよ!


 「寒かったのよ。さっさと開けなさいよ。このバカ真中」


 「それは悪かったですねー。如月さん」


 俺と如月はとことん仲が悪い。


 俺は普通に接しているのに、それにも関わらずコイツの態度は最悪なのである。


 何をいつもプリプリしてるんだが。


 確実に、毛嫌いされているのである。


 もう、本当に最悪だ。


 「それで、わざわざこんな時間に何のようだ? もしかして、またガミガミと何か俺にいちゃもんでも付けに来たのかよ?」


 「そ、そんなことわざわざするわけないでしょうが! ワタシを何だと思っているのよ」


 「隣の席に座るうるさい奴」


 「それはこっちのセリフよ!」


 たしかに、俺は授業中に後ろの席に座るレナ(金髪ツイン中二病)と頻繁に喋っている。


 まぁ、アイツから喋りかけてくるんだけど。


 「それでお前は何しに来たんだ?」


 「あのね……本当に言いにくいのだけど……」


 如月の顔が少しだけ、赤くなった。


 何だよ、その表情は。


 もしかして、コイツ……。


 「お前、トイレとか我慢してるのか?」


 「してるわけないでしょうが!」


 「それじゃあ、何だよ。そんなに赤い顔をして。もしかして熱でもあるんじゃないか?」


 「無いわよ。少しだけ言いにくいことだからよ」


 「いつもはハキハキというお前でも言いにくいこともあるんだね」


 「アンタねぇー……」


 「それで用件は何だよ?」


 「そのね、笑わないで聞いてほしいの」


 彼女は前置きにそう言って、言葉を続けた。


 「実は、ワタシをペットにしてほしいの」


 「はぁ?」


 こ、コイツ頭が完全にイカレテヤガル。


 それにこちらを見つめて、耳まで顔を真っ赤にさせてやがる。


 「お前さ、ここは病院じゃないぞ」


 「だからワタシは熱を引いてないわよ!」


 「また、顔が赤くなったぞ」


 「それは怒りよ」


 はぁー仕方がない。


 俺は如月のデコに自分の手を当ててみる。


 彼女はジッとしたままだった。


 多少は暴れるかなと思っていたので、意外だ。


 「あれ? ちょっと、熱があるような……」


 「…………」


 如月は真っ赤にしたまま、何も言わなかった。


 「このまま家に帰れと言いたいところだが……タクシーを呼べるほどのお金はない。それにお前の家ってここからちょっと遠いだろ?」


 「う、うん」


 「つまりはおぶって家まで届けるわけにもいかないな」


 「その言い方何よ。人を荷物みたいな言い方!」


 「それはそうだろうよ。お前、熱じゃん」


 「熱じゃないわよ。ワタシは元々、体温が高い方なのよ!(本当は男の人に触られて、緊張してしまったとは言えない)」


 「そっか。体温が高いのか。お前さ、それなら冬とかは人間湯たんぽになるな」


 「姉と同じことを言ってくる人がいるとは……」


 「え? 真梨先輩も同じことを言っていたのかよ」


 「うん。だから、冬とかはワタシのベッドに入り込んできてそのまま抱き合って寝るの。

ワタシは湯たんぽだからとか言って」


 あぁーあの人ならやりそうだな。


 あの人、ドが付くほどのシスコンだし。


 「それでお前さ、俺のペットになりたいって本当か?」


 「本当よ。嘘でそんなことを言うわけないでしょ?」


 俺はポケットからスマホを取り出した。


 そして、警察に電話を掛けているフリをしてみせる。


 「あのーすいません。家の前に、自分をペットにしてほしいと言う変な女がいるのですが……。ええと、特徴ですか? 特徴は怒りっぽくて、とにかく人に当たるタイプで、あぁ、何するんだよ。如月」


 「何をするのよ、はこっちのセリフよ。アンタ、何を警察に電話掛けてんのよ」


 「掛けてるわけないだろ。ほらよ」


 俺はスマホの画面をみせる。


 そこには何も映し出されていなかった。


 「はぁービックリしちゃった。腰が抜けると思ったわ」


 「これは日頃、お前が俺に対し、理不尽にキレている復讐だ」


 「……あとで、覚えていなさい」


 「あとで、ってお前は俺のペットになりたいわけだろ?」


 小金持ち貴族のゲス男っぽく、俺は問いかける。


 「……クッ、ペットにさせてください……」


 如月は悔しそうに呟いた。


 「そうだなー。まずは俺への忠誠心を見せてもらおうか」


 「ちゅ、忠誠心!」


 「そうだ。忠誠心だ。お前は言わば、ペットだ。つまりはご主人様である俺に対し、忠誠を誓うのが当たり前じゃないかな?」


 「そ、そんなことできるわけがないじゃない」


 「へぇーそうか。それなら別にいいんだぞ。別に、俺はそれでも」


 俺は玄関の戸を閉めようとする。


 すると、如月は犬のようにドアをドンドンと叩いてくる。


 余程、何か困ったことでもあるらしい。


 ここで一旦、相手の弱みでも握っておくか。


 「如月。どうしてお前はここに来た。それだけ教えろ」


 「それは真中のペットになりたかったから……」


 「それが本当の目的ではないだろ。ペットになりたい理由を教えろ」


 「そ、それは……家出したの」


 「家出? つまり、お前は帰る場所が無くなってしまい、途方に暮れているというわけか」


 「そういうことです……」


 「なるほどー。それで居場所が無いから、俺の家にペットとして上がり込もうと考えてるわけか。お前って本当に小賢しいな」


 「…………う、うるさいわね」


 「ん? 今、何か声が聞こえた気がするんだが、如月。今何か言ったか?」


 「う、うるさ——」


 「おっと、これはあくまでも、忠誠心を誓うテストみたいなものだ。もしも、ここで忠誠心が欠けるような行動や言動を取った場合は即刻、ペット失格だぞ。

では、もう一度、改めて聞くぞ。如月、お前は何か言ったか?」


 「あ、後で。アンタ……絶対に殺す……。何も言ってないです」


 「そうか。それなら良いんだよ。それなら」


 「そ、それならさっさとワタシを家にあげなさいよ」


 「あぁ、良いだろう。だが、その前に……」

 俺が部屋の中に入ろうとすると、如月も俺の後を追うように付いてくる。


 「おすわりだ」


 「へぇ?」


 彼女がキョトンとした表情でこちらを見てくる。


 「おすわりだ。聞こえなかったのか?」


 「あ、アンタねぇー。ワタシは犬じゃないのよ」


 「何を言ってるんだ? お前は今、俺のペットだろうが」


 「クッ……」


 「その表情、堪らないほど最高だよ」


 「アンタ……本当に覚えてなさいよ」


 俺は部屋の中からとあるものを持ってきた。


 そしてそれを彼女に渡す。


 「こ、これって……どういうこと?」


 俺が手渡したのは普通のエプロンである。


 「如月、今からお前にはこのエプロンを着てもらう。それが忠誠心の証としよう」


 「なんだ、簡単じゃん」


 もっと酷いことをされると思っていたのだろう。


 彼女は心底ホッとした表情である。


 「ただし、裸エプロンだ」


 「はぁ? は、裸エプロン?」


 「そうだ。裸エプロン」


 「そんなことできるわけないでしょうが!」


 「そうか。別にそれでも俺は良いんだぞ。別に、それでも」


 「着ます。着れば良いんでしょ? 着れば」


 そう言って、本当に如月は自分の服を脱ぎ始めた。


 冗談のつもりが本気でコイツ脱ぎ始めた。


 痴女決定だな。


 「あ、あの……下着まで脱がなきゃダメ?」


 「それは、お前の好きにすればいい。本気でご主人様に仕える覚悟があるならすればいい」


 た、頼む。もう脱がなくていい。


 冗談のつもりがここまでのことになるとは……。


 (真中の奴……完全に調子に乗ってるわね。コイツ、完全に後から殺す。それに、ワタシが絶対に脱がないと思って、余裕の表情ね。ふ、一泡吹かせてあげるわ)


 「き、如月さん……」


 彼女は下着を脱ぎ始めた。


 何をやってるんだ、コイツ。


 コイツ絶対に痴女だよ。痴女決定だよ。


 「ご主人様、どうかなさいましたか?」


 裸エプロン姿の如月紗夜。


 運動部に入っているわけでもないが、足腰をしっかりと鍛えているのか彼女のスタイルはとても良かった。だから、裸エプロンの醍醐味であるおしりがとっても映える。


 でも一言だけ、俺は伝えるべきことがあるだろう。


 彼女の肩を優しく、そっと叩いて


 「如月、安心しろ。世の中には小さくても大丈夫って人結構多いから。それに大きさよりも、感度が大事だから」


 彼女の胸は今後成長することは殆どないだろう。


 でも悔やむことはない。


 俺はどちらかと言えば、おしり派だぞ。


 だから安心しろ。


 「今、物凄く励まされた気がしたんだけど……」


 「まぁ、深くは考えるな。話は家の中で聞いてやる」


 こうして、俺——真中祐也と如月紗夜の主従生活が始まったのであった。

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