第26話 闇のトライフォース

 五時限目の授業が終わると、俺は一躍時の人となる。

 遅刻魔だというあだ名が払拭されるのを望むしかない。バスケ部からしつこくスカウトをされるが、もうすでに二年生だし、それに俺には別の部活動があるからと逃げた。


 六時限目はいつも通りの教室での授業。体育の後ということもあり、汗が次から次へと溢れ出してくる。そういえば、バスケに集中してあまり意識してなかったけど、レナも北野さんも二人ともかなり下着が透けていたよな。

 言うまいか言うべきか悩んで言わなかったけど、それで良かったはずである。


 それに体育後って、みんなが確実に寝るんだよね。疲れてしまってさ。

 先生が注意するけど、三大欲求に抗うことはできずに、一人、また一人と脱落していく。

 そんななかでも如月はのノートにしっかりと板書される文字を書き写していく。


 東條さんの方をちらりと見ると、うっとりした様子でこちらを見ていた。

 試合が終わった後もずっと目を輝かせて、俺の活躍を言っていた。本当に恥ずかしいのでやめてほしいものだ


 と、そんななかでも俺の後ろに座るレナだけは相変わらず元気だった。


 「マスターが最後に放った|運命の定め(デスティニーシュート)は最高でした。流石は我だけのマスター」


 褒められるのは本当に嬉しいものである。まぁ、完全に俺はデスティニーシュートなど撃てるはずがないんだけど。


 「それよりもマスター。実はボク、伝説のレアアイテムを見つけたんだ」


 「レアアイテムってどうせ変な物だろ?」


 「クックック」と言いながら、レナはバックからTバックのパンツ(如月のパンツ)を取り出す。


 ***

 体育の授業後、如月は一人で悩んでいた。何故なら自分のパンツが無くなっていたのだ。

もしかして、誰かがワタシのパンツを盗んだ? そんなわけあるわけないわよね。

 それにしっかりとここに入れていたはずなんだけど。

 でもここでみんなにワタシのパンツを知らないかとは流石に言えない。

 みんなからノーパン女子扱いされるのは本当に今後の生徒会長選でも影響を及ぼすからだ。

 もしも裏の方で「学級委員の如月さんはノーパンらしい」とか「如月っていう女はいつもノーパンで男を誘ってる」などと勘違いされると本当に学園生活が終わる。

 もう正直、盗まれたパンツのことはこのまま穏便に済み、そのまま家に帰れば全てが終わるはずだ。


 そんなことを考えていると、近くに居る二人の声が聞こえてきた。


 「それよりもマスター。実はボク、伝説のレアアイテムを見つけたんだ」


 「レアアイテムってどうせ変な物だろ?」


 「クックック」


***


 「これぞ、まさに闇のトライフォースだよ! 遥か昔に封印されたとあるけど、ここまで魔力を感じるとはね」


 そして、それをビヨンビヨンとレナは伸ばした。


 「ほら、伸縮性もバッチリさ。ほら、これはマスターへの戦利品だ」と、ポイっと放り投げてくる。


 それを咄嗟に掴んでしまった。どこからどう見てもただのパンツである。

 一応、尋ねてみよう。


 「レナ、これはどこで拾ったんだ?」


 「更衣室で拾った」


 「多分、それは誰かの着替えとかじゃないのか?」


 「でも、マスター。誰が体育の授業をするからと言って、パンツを脱ぐの? それってただの痴女だよ」


 一応、パンツだという自覚はあるらしい。それなのに、それを堂々と出すのは並大抵の人間ができることではないと思う。


 でもたしかに彼女の言う通り、体育の授業だからと言って、パンツを脱ぐのはおかしい話だよな。


 「それにしてもこのパンツはエロチックだと思う。マスターもそう思う?」


 「……まぁーな。セクシーだなと思うよ。正直、こんな姿で誘惑されたらイチコロかもしれないな」


 「そっか。マスターはこういうのがタイプなのかぁー」とレナはポケットサイズのメモ帳に書き込んでいく。


 顔を真っ赤にさせて、本当に許さないみたいな目付きで睨んでくる如月が居るんだけど。それに若干涙目になってる気がするのは、気のせいだよな。


 だって、あのいつもうるさい如月がこんな表情するとは思えないし……。

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