第23話 東條さんと如月ちゃん その3

 

「それよりさ、如月ちゃんって本当に凄い学級委員だと思うな。だって、如月ちゃんって、クラスのみんなと一緒に楽しみも苦しみも分かち合うような学級委員なんだもん」


 「ワタシは学級委員だもの。それぐらいをして当然よ。それにワタシにはこの学校の生徒会長になるという夢がある。だからこそ、このクラスぐらいは統治できるほどの力を持っておかないといけないの」


 姉は本当に凄い人だ。正直、姉は贔屓(ひいき)無しに全てが完璧な女性だ。

 そんな姉に少しでも追い付きたい。

だからこそ、まずはクラスから——ってはずなのに!?

 寄りにもよって、ワタシの隣に座る男は何度注意しても遅刻、遅刻の連続なわけ!?


 「へぇーそっか。如月ちゃんのお姉さんって生徒会長やってるもんね。やっぱり憧れの存在なんだね」


 「……憧れの存在……だったというのが正しいかもしれないわ」


 「?」という表情になった東條さんを心配はかけられない。


 「ごめんなさい。なんでもないわ」


 東條さんがワタシの方をジーと見ている。何かをワタシに言おうとしているようだ。


 「その、私がノーパンだってこと他の人に内緒にしててね」と可愛らしく手を合わせてくる。


 「約束するわ。絶対に守るわよ」


 「ありがとうー。如月ちゃん、いつも頼りにしてるよ。未来の生徒会長!?」


 未来の生徒会長か。案外、悪く無い響きである。


 「でも生徒会長は生徒のみんなから公平な判断によって、選ばれるよね。だから日頃の行いとかが大事になってくるね」


 「そうね」


 「例えば、いまも困っている生徒を助けたりすれば、その票をのちに返してくれるかも!」


 打算的に動くのはちょっとどうかと思う。


 でも彼女の言うことは一理ある。日頃の行いが大事。それは分かりきったことじゃない。


 「あの東條さん。一つ、質問をいいかしら?」


 「なに? 如月ちゃん!」


 「ワタシって周りからどのように思われてるのかしら?」


 どんな評価を下されたとしてもそれをしっかりと受け止めなければならない。

 そして少しでも生徒会長になるために改善しなければ。


 「孤高の姫とかかな? いつも一人で居ることも多いし。それに如月ちゃんと仲良くしたいけど、近づきにくいって人も居る」


 とここで一旦、呼吸を挟んでから


 「多分、怖いイメージがあるんだと思う」


 覚悟をしてたとは言え、結構ズバズバ言ってる子である。

 そのせいで心の傷が深まるばかりだ。


 「でもね、如月ちゃんは喋ってみると普通の女の子と何も変わらないと思った!」


 逆にワタシを普通の女の子では無いと思っていたのだろうか。

 でもワタシだって、姉を普通だと思ってはいないので、同じようなものだろうか。


 「だからね。私、思うんだ! 如月ちゃんは困ってる人を助けるの! 例えば、不良が子猫を助けるところを偶然見かけたら、印象が変わるみたいな」


 ワタシの評価って、そんな不良共と同じなのね。

 結構ショックだわ。でも仕方ない。怖がられている自覚は以前からあった。


 「そうしたら、絶対に如月ちゃんが全然怖くなくて、本当に良い子だって誤解が解けると思うの!」


 彼女の言う通りだ。誤解を解かないままにしていては、生徒会長選にまで響く可能性がある。それを防ぐためにも今の内から絶対に行動をしてた方がいい。


 「ありがとう、東條さん。困った人を見かけたら助けることにするわ」 


 「うん。それがいいよ。多分、すぐに誤解は解けると思うなぁー」


 ***


 「そろそろ、では教室に戻りましょう。授業に遅れちゃうわ」


 「そうだねー。えぇーと、次の授業ってなんだっけ?」


 「たしか、体育ね」


 「えぇーーー!?!?」


 「いきなりどうしたの? そんな大きな声をあげて」


 「わ、私。ノーパンだよぉー!? どうしよう。みんなに私がパンツを履いてないとバレたくないよぉ〜。恥かしいよぉー」と涙目になった東條さんがワタシに縋り寄って来た。


 そこで何かを企んだかのような表情で東條さんは悪戯っぽい笑顔を向けてきた。


 「ねぇ、如月ちゃん! 如月ちゃんって、楽しみも苦しみも一緒に分かち合うような学級員さんなんだよね?」


 「えっ? そうだけど、それがどうしたの?」


 「ならさ、如月ちゃん。如月ちゃん! ノーパンになってよ!?」


 某魔法少女のマスコットキャラクターのような言い草である。


 「はぁ?」素で声が出てしまった。


 「さっき言ってたじゃん!? 困ってる人が居たら助けてくれるって!」


 「それとこれとは別よ!? 人前でノーパンなんて、そ、そんなこと……」


 「あ、そうだ! もしも如月ちゃんがノーパンになってくれるなら、私、如月ちゃんに清き一票を献上するつもりだよ!」


 この時点で交換条件を持ち出してくる時点で清き一票とは言えない気がする。

でもここで約束を守ると一票が確実に入るだろう。東條さんは多分義理が固いと思うし。

それに彼女をこちら側の味方につければ、彼女に憧れる生徒達の支持を受けることができるかもしれない。


 って、そんなことは絶対ダメよ。それにワタシ計算高くて嫌な奴じゃない。そんなことをしたら。


 「ごめんなさい。正直、票は喉から手が出るほどに欲しいわ。でもワタシは生徒会長に自力でなってみせるんだから」


 だが、今はまだ選挙期間中でも無いし、ワタシは学級委員だ。クラスの人が困っているのなら、見逃すことはできない。だからここは人肌脱ぐしかないわね!?


 こうしてワタシはスカートを腰の方まで上げ、パンツをゆっくりと下にずらしていく。


 その姿を東條さんは両手で隠して、顔を真っ赤にさせて眺めていた。


 ちょっと恥ずかしいから、他所をみていて欲しいけど。女の子同士だし、これぐらいは別に問題は無いわよね。

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