第20話 お弁当

「ねぇ、早く言ってよ。そうしないと、お弁当はあげないぞ」と弁当を自分の方へ手繰り寄せる。


 「う、そ、それは……」


 流石に同棲してるとは言えないし。それにペットであるとは口が裂けても言えない。

 でも幼馴染は結構な頻度で俺の家に夕飯とか作りに来てくれるわけだし。

 このまま黙っておくのも悪いよな。


 「実は……東條さん。家出したらしいんだ」

 「家出……?」と表情を歪める恵梨香。

 「でもどうしてユウくんなの? ユウくんと東條さんってそれほど仲が良いってわけじゃないよね?」


 一応、両思いだったとは昨晩判明したから、仲が良いとも言えるが。

 ここは仕方なくみたいな雰囲気があると良いだろう。


 「クラスで一人暮らしって俺ぐらいだろ。それで東條さん。俺の家に来たんだよ。もう暗かったからそのまま返すわけにも行かないし」


 普通に男子の家に上がり込んでくるかって問題だけどな。そこを突かれると何も言い返せない。だから何も言われないのを願うしかない。


「ふーん」と恵梨香は半信半疑と言った風に俺を見てくる。

「それで、どうして東條さんは今朝、裸エプロンだったの? もしかして、無理矢理剥がして、着せたの?」

 心臓が凍り付きそうなほどに冷静だった。なおかつ視線が冷たいよ。

 そのままでは俺、冷たすぎて火傷負っちゃうよ!

 「そ、それは……」

 本人が勝手にやりました、と報告したいが、それを教えると東條さんが変態さんだとバレてしまう。それはそれで色々と問題があると思うので、他に何かあれば良いのだが。

 「最近流行りのファッションなのらしい」

 「はぁ? あれが?」

 顔色が一気に変化したぞ。これは完全におかしいと気づいた顔だな。

「俺も詳しくは分からないが開放感があって良いと評判だそうだ(大嘘)」


このままでは嘘だと見破られる可能性があるので、話題を変えよう。


 「あ、それよりも恵梨香って、裸エプロンという言葉をよく知ってたな」


 それに恵梨香って、今朝オ●ニーを定期的にやってるとか言ってたよな。


 「えっつ!? ちょ、そ、そ。それは……!?」

 あたふたし始める恵梨香。もうひと押しすれば、現在質問攻めされてる状況を回避できるかもしれない。


 「もしかして意外と恵梨香って、エッチなのか?」

 カァーと恵梨香の頰が染まっていくのが分かった。

 「え、え、エッチじゃないわよ! 好きな人の好みとかをチェックするのは当然でしょ!?」


 言ったあとに、あ、しまったという気まずい顔になった。


 「お、お前……もしかして……それって、この学校にいる奴のことだよね?」

 「…………ぅ。うん」蚊の鳴き声程度のか細いものである。

 「もぉ、もしかして」

 「……う、うん。ずっと黙ってた。でももしかしたら……言ったら嫌われるかもと思って」

 「なんだよ。早目に言ってくれれば、良かったのに。俺はもっと早めに言ってくれれば。もっと嬉しかったのに」

 「え? それって、ユウくん!?」

 彼女の表情がパッと明るくなる。

 「なかなか見る目があるやつだな。その恵梨香が好きって言う奴! 俺に紹介してくれよ!」

 「あぁーもう!? 今日のユウくんはお昼抜き決定!?」と拗ね始めた。

 正直、理由が分からない。俺はサポートしてあげようと思ったのに。

それにしても裸エプロン好きがこの近くにいるとはな。それも学校に居るみたいだ。


その後、なんだかんだで弁当を食べることができた。

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