第19話 西沢恵梨香

 昼休み。俺は東條さんから逃げるように教室を飛び出した。そして、俺は幼馴染である恵梨香の居る教室へと向かった。

 理由は何を隠そう、彼女が俺の弁当を毎日手作りしているからだ。


 「恵梨香―」と教室の外から呼ぶ。

 すると、恵梨香の友達が彼女に茶々を入れる。


 「彼氏が来たよー。恵梨香―」という声にもう何度も言われて慣れているかのように、クールの受け流して、バックを肩に掛けてやってきた。


 「じゃあ、行こっか。ユウくん」と恵梨香は自分の腕を俺の腕にギュッと引き寄せるようにして、絡めてくる。


 正直、いまだにこの関係には全く慣れない。


 「お願い。今だけだから」と彼女が耳元で囁く。


 「あぁ、わかってるって」とおどけながら、俺は彼女の指示通りに動いた。

 彼女の横乳がモロに当たって、最高です。


 ***


 廊下を少しだけ歩き、俺と恵梨香はひっそりと空き教室へと入る。

一応、生徒会長である真梨(マリ)先輩(如月の姉)に事情を説明して許可を得ているので安心である。


だが、生徒会長から「他の生徒の比べ、キミには色々と依怙贔屓(えこひいき)してるから、できるだけ隠れて使って欲しい」との要望があり、こそっと侵入してるわけだ。


 「本当にごめんね。ユウくん」と恵梨香が頭を下げて謝ってくる。


 「謝る必要なんてないだろ。むしろ、恵梨香は被害者なんだからさ」


 恵梨香は結構モテる。でも心に決めた人が居るからと誰とも付き合わないらしい。正直、誰がその相手なのか気になるところだが、彼女は全く教えてはくれない。


 「それであの先輩からのアプローチはどうなんだよ?」


 あの先輩というのは彼女が一ヶ月前に告られた相手である。どうやら、彼は恵梨香がずっと前から好きだったらしい。

 でもその際に、恵梨香は「わたしはユウくんと付き合ってる」と嘘を付いて、逃げてしまったのだ。


 こうして、現在。俺は彼女の彼氏の振りをして、一緒に昼ご飯を食べているわけだ。

 つまり、俺は恵梨香の偽彼氏なのである。


話によれば、昼休みになる度に、恵梨香の教室に来て、迷惑をかけてくるらしい。

 だから昼休みが終わると同時に、みんなに被害が及ばないようにこうして逃げているわけだ。

 正直、本当に傍迷惑な話だ。それに彼氏である(と思ってる)俺にかなり嫉妬しているという噂を聞いた。結構イカツイ先輩なのに心は乙女なのかなとか思ってしまう。


 「最近は大丈夫だよ。本当にありがとうね。全部ユウくんのおかげだよ」と本当に感謝の気持ちを込めた言い方だった。


 そして、彼女はバックから弁当箱を二つ出した。ちなみに赤と青のペアルックだ。


 だが、俺の方になかなか弁当箱を渡してくれそうにない。


 「そのさ、東條さんとはどんな関係なの?」


 「そ、それよりも、弁当を先に食べないか? 恵梨香―」


 「ダメ。しっかりとわたしに分かるように説明して! それまで弁当は渡さないから」


 どうやら、喋るまでは俺のお昼は訪れないらしい。


ど、どうすれば、いいんだ!? 教えて! ラブコメの神様!?

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