第3話 お風呂に入りたい!

「ご主……ユウヤくん、そのお風呂を借りても良いかな?」

 まだユウヤくんと言うのが、慣れてないようだ。ということは以前から俺のことをご主人様と言って、慕っていたのか。

 って、それよりもあの東條さんがお風呂だと!? 流石に男の家に上がって、直ぐにお風呂なんて気が早い気がするけど……。

 彼女だって、年頃だし、そんなエッチなことに興味を持っていてもおかしくはないよね。

 この心臓の高鳴りを絶対に外に漏らさないようにと念じながら、口を開いた。

 「その今日はシャワーだけど良いかな? 最近、もう暑いし」

 「あ、はい。大丈夫です。ご主人様の後の浴槽に入って、ご主人様と間接的に身体が触れ合えるとか、そんなことは思ってないです……少しぐらいしか」と顔を茹でたタコのようにして言う姿を見ると、確実にそんなことを考えていたのかと思ってしまう。

 「そのさ、意外と東條さんって変態だよね」

 「変態じゃない……」と唇を噛みしめるように言葉を吐いた。

 「大丈夫。俺、結構エッチな女の子好きだから」とフォローを入れたけど、下を向いてもっと顔を真っ赤にさせてしまった。このままでは茹ですぎて、タコさんから炭さんに変わりそうと思ったので、俺は「ほら、早く入ってきなよ」と催促してあげる。

 勿論、一言を忘れない。

 「お風呂上がりは大事な話があるから」

 「……大事な話?」と彼女は小さく呟き、また顔を赤くしている。

 今更だが、東條さんは顔に気持ちが出るタイプなので弄り甲斐があって楽しい。

 「うん。大事な話。だからお風呂場で気持ちを整理しててね」

 「えっ、ええっつ。その……でも、私はペットだから仕方ないよね……」とか「お手柔らかにお願いします」などと東條さんがボソボソと呟いていたけれど、何を言ってるのか分からなかった。

 俺はただ、何故彼女はこんな時間に俺の家に来たのかとか、そんな話をしたいだけなんだけど。彼女にだって、色々と問題があって、この家に来てると思うし。

 それなりに一人になって、考える準備も必要なはずだ。

 「大丈夫大丈夫。そんな深いところまでは突っ込まないから」

 「………………………………」完全に東條さんは上の空状態になっている。

 「だ、大丈夫?」と尋ねると、彼女は「大丈夫です」と言って、ふらふら状態でお風呂場へと向かう。

 が、途中で立ち止まり、後ろを振り向いた。

 「その、服を貸してくれないかな……?」

 何を隠そう、彼女は制服姿のままここへやってきたのだ。だから着替える服がないのである。

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