シモーヌ編 有意義
岸に戻ると、アーマード・ピラルクに襲われた水泳部の右後脚がなくなり三本脚になっているのが確認された。本体にも浸水したことでまともに動作できなくなっている。
こうして、
『四機の<水没したホビットMk-Ⅱ>をサルベージするために二機の水泳部が破損した』
というのが今回の結果だった。正直、<費用対効果>としては芳しくないというのが事実だろう。これなら水没したホビットMk-Ⅱをそのまま放置していてもよかったのかもしれない。しかし、人間の場合はそうはいかない。コストをかけてでも収容する必要は出てくるだろう。だからそのためのシミュレーションとしてなら、ちゃんと意味もあったわけだ。
さらに、
<行方不明者の捜索のシミュレーション>
として、今回は発見できなかった一機の捜索も、日を改めて行うことにする。
で、今日のところは、上空で待機していたアリアンが降下。
そうして空港へと引き返していった。
「課題は多かったが、有意義だったと思う」
一部始終をタブレット越しに見ていた
「だな。ホビットMk-Ⅱの有用性もこれで確認できた。今後はホビットMk-Ⅱを中心に計画を立てることにしよう」
俺も応える。
確実に量産できるホビットMk-Ⅱが役に立つなら、ここに社会を築く上でもすごく頼もしい。地球人社会ではもはやロボットなしには社会保障も成り立たなくなっているから、十分な機能を持つロボットが十分な数を確保できるというのは本当に大事なんだ。
そして今回のこれを受けて、<ホビット生産工場>の方でも、水泳部仕様の製造が可能なように設備の更新を行っていく。
ああ、<ホビット生産工場>といえば、その脇に新しく作っていた<汎用工場>についても、稼働し始めた。日用品をはじめとした、<コーネリアス号の工房>でなくても作れる物品についてはこちらで製造することになる。
で、それに合わせて<オートジャイロ>も製造することにした。しかもただのオートジャイロだと垂直離陸ができないから、<ジャンプ・テイクオフ>という離陸方法を可能とする機能を持ったタイプをな。
オートジャイロというのは、プレーンな機種だと回転翼は動力に繋がっていなくて、動力に繋がっている推進用のプロペラを回転させて前進することで風を受けて回転翼が回り揚力を発生させるそうだが、その回転翼に一時的に動力を伝えて垂直に跳び上がり、そこから推進用のプロペラを駆動させて前進するという方式のを採用するということだ。
ちなみにこちらは、ホビットMk-Ⅱをベースとした<ロボットオートジャイロ>になる予定だ。
これで滑走路がないところでも離着陸ができるようになるということだ。
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