シモーヌ編 シオ
そうしてシモーヌ同士で話し、
「ところで、私達はお互いにどう区別したらいいと思う?」
俺のパートナーである方のシモーヌがそう問い掛けると、新しく現れた方のシモーヌは、
「……そうね、私の方は<シオ>でいいかな」
と提案して、
「ああ! 子供の頃のあだ名! 懐かしい!」
と俺のパートナーである方のシモーヌが応じたことで、新しく現れたシモーヌの方は<シオ>と名乗ることになった。フランス語で<子犬>という意味なんだそうだ。「小さかった頃は子犬みたいに元気な女の子だったから」とのことで。
さらに、
「じゃあ、私は<シエンヌ>って名乗ろうかな」
と提案する俺のパートナーである方のシモーヌに対してシオは、
「ううん、あなたはシモーヌのままでいいと思う。だってもう二十年以上、それで暮らしてきたんでしょ? 今さら変えたら周りが戸惑うだろうし」
そんな風に言ってくれた。なので俺のパートナーである方のシモーヌについてはこれからも<シモーヌ>と名乗ることに。
こうして一通りシオとシモーヌ(俺のパートナーである方の)とで情報交換を行った後に改めて、
「まだまだ興味深いことは山ほどある。まずは、ビアンカと
シモーヌが告げると、
「ええ!? おめでとう!」
シオが満面の笑顔で手を叩く。それに対して照れくさそうに互いに視線を合わせたビアンカと
「ありがとう」
声を揃えて応えた。さらにシモーヌはビアンカに向かって、
「あなたのこと、詳しく話しても大丈夫かな?」
確認を取る。
『ビアンカが<アラニーズ>として顕現したことを話してもいいか?』
と訊いているんだ。するとビアンカも、
「うん。大丈夫。私はもう、今の私に誇りを持っているから」
凛々しい表情で応える。そんなやり取りに何かを察したのか、シオも、
「訳ありってことね。ビアンカがいいなら詳しく聞かせて」
姿勢を正し表情が引き締まった。真摯な態度で臨もうという決意が見える。
こうしてタブレットに映し出されたビアンカの映像が、彼女の全身を映すものになって、
「これは……?」
さすがにシオの方も息を呑んだ。すぐには理解できなかったらしいが、ビアンカが少し体の向きを変えて斜め方向から全体を捉えた映像になった時に、ビアンカと<巨大な蜘蛛を思わせる白い体>が一体になっていることを察したようだ。
これに対してシモーヌは、
「見ての通り彼女は、透明なだけでなく、巨大な昆虫的なシルエットを持った体の<人間>として顕現したの」
回りくどい言い方をせず、見たままを表したのだった。
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