シモーヌ編 突っ込んだ観察

新暦〇〇三六年三月二十七日




そんな感じでシモーヌが学者根性を発揮してる一方で、めいの縄張りを受け継ぐ者が現れた。


めいの弟であるじょうの息子のりくだ。ちょうど巣立ちが近かったことでうまい具合に滑り込んだ形だな。てっきり別のところを縄張りにするだろうと予測してたんだが、これはこれでよかったよ。


新しい縄張りを探して探索してて、めいかくが寝床にしてた<鵺竜こうりゅうの亡骸>を見付けてそのまま居ついたわけだ。


めいの息子のせいは別の場所を縄張りにしてるし、えいは俺達の集落で暮らしてるしで、りくが引き継いでくれるなら万々歳。


りくも基本的にはせいと同じで普通にマンティアンとして生きているものの、俺達とは距離を取ってくれてるから問題ない。駿しゅんボクサー竜ボクサーのことは獲物として狙うものの、それはかくも同じだったしな。


なお、れいとメイについては、イレーネがつきっきりで対処してくれてるから何も心配していない。れいもイレーネがやってるのを見て学んだらしく、おむつ交換もできるようになった。


ただ、お尻を拭いたりすることの意味がまだ理解できていないらしく、それこそただ真似をしてるだけできちんと綺麗にはできないそうだ。だからイレーネがフォローしてくれてる。


なのでこちらも心配は要らないだろろう。


後は、あかりの子がいつ生まれるかだな。


そのあかりも、大きなお腹を抱えつつも普通に毎日の仕事をこなしてる。この辺りも地球人とは身体能力が桁違いだからだろう。胎に胎児を抱えていても負担はそれほどじゃないということだと思われる。


ビアンカの場合は、<アラニーズ>でありながら人間のようにも見える部分で妊娠したことで非常に特異な負担が掛かってたんだろうな。だから<腰>が痛くなった。何しろ、本来のアラニーズとしてケイン達を宿した時にはそれほどつらそうにしていなかったし。


この辺りも大変に興味深い話ではある。


とは言え、いろいろ配慮も必要だったし無遠慮に首を突っ込まなかった分、シモーヌは自分の妊娠については誰憚ることなく突っ込んだ観察ができるがゆえに、ここまでの鬱憤を晴らすかのように熱中してるってことだろうな。


まあ、いろいろ<尾籠びろう>な話だったりする点についても、詳細には触れないが徹底的に調べてるようだ。


なのでそれについては彼女の好きにしてもらうさ。俺の言いなりになってもらおうとは思ってない。


ただこの日は午後から大変な雷雨になってな。ホビットMk-Ⅱらが建造してる集落からほど近いところに流れている河に何度か落雷があったんだ。


で、母艦ドローンを派遣したんだが……


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