玲編 子供達との接し方

『自分より弱い相手にイキがる』


未来みらい素戔嗚すさのおもそんなことはしないぞ。自分より弱い土竜モグライタチ竜イタチを狩ったりはするものの、それは別に自分より弱い相手にイキがるためじゃないしな。


挑みかかるのは、いつだって自分より強い相手だ。自分より強い相手に挑み、そして自分の成長度合いを確認してる。


未来みらいはビアンカやハートマンやグレイに、素戔嗚すさのおはドーベルマンMPMに挑みかかり、今の自分がこの群れにおいてどの位置にいるのかを確認してるんだ。


だから身の程をわきまえてる。自分がこの群れじゃまだまだ弱っちい存在だと承知してる。


ただ、未来みらい素戔嗚すさのおも、以前より手応えは感じているようだ。特に未来みらいは、


「本当に力が強くなってきてます。うっかりすると圧されそうになるくらい」


実際にビアンカがそう感じてるくらいには。


素戔嗚すさのお未来みらいのようにただの力比べだけじゃないから、黎明れいあを抱いたりケインを負ぶったりしてる状態では相手できないので、最近ではすっかりドーベルマンMPMだけで相手してる状態だが、それでも明らかに<技>の切れが増してきている。ドーベルマンMPMの動きを<技>として習得していってるんだ。手や足を瞬時に入れ替えて変幻自在に攻撃を繰り出すのは、もはやビアンカでも凌ぐのは一苦労だろう。


それでもまだ、ドーベルマンMPMの方が強いけどな。


けれども、黎明れいあやケイン相手にイキがったりはしない。


『強い』っていうのはそういうことじゃないのか? 少なくとも俺はそう思うんだよ。


龍準りゅうじゅんだってそうだ。龍準りゅうじゅんに比べれば密林に住んでるほとんどの生き物は弱いだろう。だが別に弱い相手をいたぶったりはしない。狩りの際には容赦しないだけだ。


ネコがネズミをいたぶったりするのも、あれは狩りの練習らしいじゃないか。


人間が弱い相手にイキがるのとは、まったく違うと思うんだがなあ。


しょうかいにちょっかいを掛けて血塗れにしてしまったことも、それぞれの生態の違いがよく分かっていない状態でじゃれついてしまったからだしな。


悪気がなかったのは分かってる。


それに、見た目に酷い有り様だったが、かいにとっては大した傷じゃなかったらしいし、本人もそんなに気にしてなかったようだ。まあ、しょうのことは怖がってたみたいだが。


しかもしょうも、それ以降はあんまり無茶はしなくなってたしな。


あの時点では俺自身、子供達との接し方が十分に分かってない部分もあったからそんなことにもなってしまったが、今はそうなる前に対処はしてる。


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