玲編 メイフェア
「戦闘モード」
「戦闘モード。了解いたしました」
これにより全力稼働が可能になった彼女には、それこそ<不定形生物由来の怪物>くらいでないと対抗できない。
はずだ。
とは言え、
などと思うんだが、まあ結論から言えばそれは杞憂だった。
こうやって反応できたこと自体がもうすでにすごいにせよ、それでも普通の生物の限界はそんなもんだよなという印象でもある。
突き出されたカマをメイフェアは右手だけで弾いて捌き、そのまま右手で
「ギッ……!」
その衝撃に
しかしそんなものは彼女には通じない。左手で受け止められ押し退けられ、逆にメイフェアが右回し蹴り。
十分に手加減はしているものの、ヘルメットを被っているかのような頭が爆発したかのように弾かれて、その場に膝を着く。
「? ……?」
自分の身に何が起こったのか、理解できてないようだ。なのにメイフェアが左手を伸ばすと右方向に跳んで躱す。普通の動物なら脳震盪でも起こしてるところだろうに、さすがのタフネスぶりだな。
けれど、戦闘モードで全力稼働中の彼女からは逃れられない。いくら、攻撃の一瞬だけ全力を出す省エネ稼働であってもだ。
横っ飛びした
シリンジから小さな刃が出て、マンティアンの天然の装甲に刺さる。深さは二ミリほど、刃にチップが着いていて、シリンジを離すとチップだけが中に残るという感じだ。
天然の装甲そのものを貫通することはない。なのでおそらく痛みもない。
こうしてチップを埋め込むことには成功したのだった。
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