灯編 ビアンカの味方
「何があっても私はビアンカの味方だよ」
<卵の摘出手術>
に臨むビアンカに、
「うん。ありがとう。
娘を抱いてくれている
「私も、ビアンカの味方だから……!」
すっかり立派になった、強い意志を感じさせるまなざしを向けて言い、ビアンカと抱き合う。
「ありがとう。ルコアも私の娘だよ。だからルコアの弟妹を迎えてくるね」
そう言って<育児室>に入っていった。
そこには、三つの孵卵器とセシリアとハートマンとグレイとドーベルマンMPMが待機していた。卵の摘出手術中に卵が孵って、子供がビアンカに襲い掛かったりした場合に備えてだ。
本当に何が起こるか分からないから、油断はしない。できる限り万全の対策を取る。<最悪の事態>に、<想定しうる最も悲観的な状況>に備えるんだ。
そして付添人は
万が一の際に俺の判断が必要になる可能性もあるわけで。
ビアンカの<子>を諦めないといけなかったりな。その際にハートマン達に命令を下せるのは、俺だけなんだ。
一方、育児室の外では、
「ビアンカ……」
ルコアが心配気な表情で、
そんなルコアと
あの、やんちゃくれでじゃじゃ馬で、
その実感に浸りつつ、ビアンカのことも見守る。もっとも、シモーヌは学術的な見地から手術の一切を詳細に見守るが、俺は、状況さえ把握できればいいので、実際の処置については見てない。ビアンカはれっきとした女性だし、俺の<パートナー>でもないからな。
で、実際の摘出手術は、アラニーズとしての本体の方の、子供が母親から出てくる時だけ開くいわば<産道>を開かせてセシリアがそこから手を突っ込んで中の卵を掴みだすという、実に原始的で乱暴なやり方だった。何しろ前例がないから、どうするのが適切なのかも分からないんで、今は取り敢えずこれが一番確実だと判断されたんだよ。
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