灯編 社会
小さい頃、
その
皆、<俺の子>なのに、自分で考えて自分で選んだんだ。去っていった子も、居残った子も、戻ってきた子も、な。
俺はそれぞれの選択を尊重する。全員、<俺の子>ではあっても、<俺の道具>でもなければ<俺の家畜>でもなければ<俺のペット>でもないんだ。俺の思い通りにはいかない。
その当たり前のことを受け止められる親でありたいと、俺は思う。
特に、<地球人に準じた人間>として生きることを選んだ
『気に入らない相手なら、肉体的にも精神的にも痛め付ければいい』
『他人を蹴落とし踏みにじり、必要なものは欲しいものは力尽くで奪い取ればいい』
なんてことを是とする人間にはなってほしくない。親から子へ、そんな考え方や振る舞いを受け継いでいくような社会であってほしくない。そんな社会をここに作りたくはない。
『気に入らない相手なら、肉体的にも精神的にも痛め付ければいい』とか、『他人を蹴落とし踏みにじり、必要なものは欲しいものは力尽くで奪い取ればいい』なんてのを親から子へと受け継ぐような社会がどうなったのか、記録が残ってる。
まったくの通りすがりの見ず知らずの相手に対していきなり殴る蹴るの暴行を加えることが珍しくなかったり、店の商品を堂々と奪い去りそれを『自分達の正当な権利だ!』と言い張るような者達が当たり前にいる社会になったそうじゃないか。
一度そうなってしまったものを改めていくことがどれほど難しいか、そういう時代を生きた人間にはきっと分かるんじゃないか? 『悪くなることはあっても良くなっていくことはない』と思ってしまうような感じじゃなかったのか?
だからこそ、最初からそうじゃないようにしていこうと俺は努力しているんだ。
<生存競争>と<悪意による犯罪>についても、明確に区別していかなきゃとも思ってる。それを混同すると、人間は自分に都合の悪い野生動物を皆殺しにしようとするからな。
それが結局、回り回って人間自身にも向けられることになると考えもせずにだ。
『自分に都合の悪いものは排除すればいい』
って考えれば、そりゃあ人間そのものが一番都合が悪いだろ。
人間にとってはな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます