新編 コンセプト
『俺が受け止める!』
とカッコつけたいところだが、現実問題として、たかが脆弱な地球人に過ぎない俺には
地球人の社会でも、散々、それに伴う<事件>があったじゃないか。親に虐げられてきた子供がその鬱憤を晴らそうとして、何の関係もない赤の他人、それこそ見ず知らずの相手に危害を加えるというような事件が。
そこまでいかなくても、<イジメ>の原因の多くは、家庭でのストレスを他者に転嫁する形だったはずだ。その事実をわきまえれば、家庭の問題を、赤の他人の犠牲で帳尻を合わせるわけにはいかないんだ。
実は、それもまた、メイトギアの役目でもある。家人の理不尽な八つ当たりを受け止め、主人とその家族が赤の他人を害さないようにするというのも。それにより、事件を起こさせず、事件の芽を育てさせず、結果として『主人を守る』わけだな。
ただのロボットであり機械でしかないメイトギアは、痛みを感じない。痛みを感じているフリをすることはできても、実際には感じていないんだ。そして故障すれば修理するだけで済む。心も持たないから人間に八つ当たりされても心理的なストレスにはならない。
メイトギアをはじめとしたロボットが不可欠になった要素の一つだな。人間関係の様々な軋轢のしわ寄せを受け止めてくれてるんだ。ロボットに心を再現しないのは、それも理由の一つである。心を持つと、<しわ寄せ>を押し付けられることに苦痛を覚えるようになる可能性が高いからな。
ロボットはあくまで<道具>だ。メイトギアのように人間そっくりに作られていても、それは人間じゃない。理不尽に虐げられているように見えても、そのための道具であり、苦痛を感じないようにできてるんだ。本物のサンドバッグが、ストレス解消のために人間に殴られ蹴られして、苦痛を感じるか?
『サンドバッグが可哀想だから、サンドバッグの製造はやめよう』
って話になるか? さすがにそれはおかしいだろう? 人間の八つ当たりを受け止める役目も持つ以上、ロボットに心は再現できない。それも事実なんだろうな。
アリスシリーズやドライツェンシリーズやドーベルマンMPM及び、これから開発されていくであろうロボット群も、そのコンセプトは引き継いでいくことになると思う。
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