ビアンカ編 それは来なかった
幼い子供が親を排除しようなんてのは、結局、
『<親がいなくなることによるリスク>よりも、<親がいることのリスク>の方が高いと感じている』
からだろう? むしろそうじゃなきゃ、幼い子供が親を排除しようとする理由がない。可愛らしく親に甘えていれば守ってもらえるのに敢えてそれを捨てなきゃいけない理由はなんだ? 捨てなきゃ自分の存在そのものが危うくされると感じてるからじゃないのか?
つまり、<そういう親>だということだ。
そこまでじゃなきゃ、幼い子供が親を排除する意味がない。
確かに、
これを放置してると、さらに拗らせてそれこそ手の付けられない状態になっていただろうな。それが、ドーベルマンMPMと出逢い、ビアンカと出逢い、自分の力や衝動を受け止めてくれる相手を見付けることができた。そして今、ビアンカに甘えてる。
これもまあ、まだ<拗らせる前>だったからこんなにスムーズにいったんだと思う。もし、完全に拗らせてからだったら、どうしようもないただただ<凶暴なだけの獣>になっていた可能性は高い。痛い目を見て身のほどを知って引き下がってくれたらいいが、もしそうじゃなかったらそれこそ命を奪うしかなかったかもしれないな。
このままうまくいってくれる事を願うだけだよ。
ビアンカのストレスを解消する役回りになる
などと、俺が言うまでもなく、彼はそのつもりだけどな。そうじゃなきゃ、
新暦〇〇三四年四月十日
そうしてさらに一ヶ月が過ぎ、
いや、実際にはビアンカに甘えている状態だから、<一匹レオン>とは言い難いか。むしろビアンカが<母親>の、ビクキアテグ村の一員に近い状態だろうな。それもあって、今はもう、ヘルメットとゴーグルは使わず、素顔を
そんな中、ビアンカの次の月経の予定日が過ぎても、それは来なかった。初潮を迎えたばかりの場合だと最初は必ずしも規則正しくこないものらしいというのは俺も知ってたが、ビアンカの場合は、本来の人間の体だった時には規則正しく来てたそうだからな。
で、念の為、検査すると。
「たぶん、妊娠ね」
データを見たシモーヌがそう告げたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます