ビアンカ編 成長と共に
新暦〇〇三四年三月九日
とにかく、ビアンカにかまってもらえたことが嬉しかったのか、この日を境に、
相変わらずやることはハードではあるものの、以前ほど殺伐としたものじゃなくなっていったんだ。表情も明らかに穏やかに……とまでは言えなくても、殺意を感じるほどじゃなくなったのも事実だと思う。
牙を剥いて飛び掛ってくるものの、本気で爪や牙を立てようとはしなかった。試しに手を掴ませてみたが、ただ握ってくるだけで、爪を突き立ててはこない。もちろん、爪を立てられたところで大丈夫だからこそ試せたというのも事実ではある。とは言え、その力は、
それでも、確実に
だからビアンカも、これまで以上に加減をするようにした。直接的な打撃についても、『叩きつける』と言うよりは、『押す』ことで彼のバランスを崩す感じだろうか。
その感じであっても、
これが大体、十五分くらい続く。そして満足すると、引き下がる。
「ご苦労様、ビアンカ」
「お疲れ~!」
「お疲れなさい」
「お疲れなさいませ」
「お疲れさまです」
「ただいま」
と応えた。
俺も、
「お疲れさん」
タブレット越しに声を掛ける。
「明らかに
正直な印象だった。仲間にじゃれつく感じのそれになっていってるのが、俺にも分かる。
「はい、実際に手合わせしてても感じます。彼の目が、優しいんです」
ビアンカは嬉しそうにそう言った。正直、俺にはそこまでは分からないが、確かに表情は以前に比べると険しいものじゃなくなってるのは事実だと思う。
それと同時に、ビアンカの表情も柔らかい。月経も終わって体調がよくなったのもあるんだとしても、
さりとて、
こういうのは、一ヶ月とか二ヶ月とかじゃ終わらない。成長と共に本人にとっての感覚の変化によって治まっていくものだろうなというのも、実感だ。
ルコアに続けて
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます