ビアンカ編 ハーレムの本当の姿

そしてさすがにこの頃になると、きたるとの突然の別れについても、皆、気持ちに整理がつき始めたようだ。


特に未来みらいは、基本的には野性寄りのメンタルをもつからか、翌々日には吹っ切れたように元通りになり、<力比べ>を再開した。


朝起きて、食事をして、<訓練>をして、それからビアンカやハートマンやグレイに<力比べ>を挑んで、川を猛スペードで泳いで、一休みして軽く寝て、起きて昼食をとって村の中を走り回って川に飛び込んで暴れて、昼寝して、また村の中を走り回って川に飛び込んで猛スピードで泳いでという、人間(地球人)の感覚からすれば、


『どんだけタフやねん!?』


とツッコミを入れてしまいそうなハードな一日を過ごしていた。まあこれも全部、<野生で生き抜く力>を身に付けるための<鍛錬>なんだろうけどな。


ビアンカも、未来みらいの挑戦を受け止めてくれる。素戔嗚すさのおのそれとも合わせてだから大変かもしれないが、その辺りは、久利生くりうにたっぷり愛してもらった上でぐっすり眠ることでリフレッシュできてるようだ。


しかも、ルコアが、


「ビアンカ、疲れてない?」


と気遣ってもくれるしな。


するとあかりが、


「はっはっは! この肌艶を見れば問題ないことは一目瞭然! 久利生くりうに存分に愛してもらってるからな!」


ビアンカの肩をバンバンと叩きながら笑った。そんなあかりに、ビアンカは照れた様子で、


「んもう! あかりったら…!」


拳を振り上げる仕草を見せる。と、途端に、


「きゃーっ! ビアンカが怒ったぁ~♡」


頭を庇うような仕草をして、身を躱す。もっとも、二人とも笑顔だったが。本当に仲がいいな。


久利生くりうとの間に子を成したきたるが亡くなったことで、形式上はビアンカが<第二夫人>から<第一夫人>へと繰り上がり、あかりも<第三夫人>から<第二夫人>へと繰り上がることになった。


でもまあ、本人達はそんなことは意識してないようだ。


それは結局、ビアンカもあかりも、


久利生くりうに従わされてる』


わけじゃないからだろうな。むしろ、


『二人が積極的に久利生くりうを共有してる』


んだ。結局それが、<ハーレムの本当の姿>なんだと俺は実感してる。


そしてルコアは、<ビアンカの娘>であり、久利生くりうにとっても娘ということだな。


そのルコアも、ビアンカとあかりのやり取りを見てクスクスと笑ってる。かつての、


<怯え切って不安そうな表情>


はもうどこにもない。<普通の十三歳の少女の笑顔>だ。


ちなみに、ルコアの正式な誕生日がはっきりしなかったので、オリジナルのルコアのおおよその誕生日から推定して十月十日としてある。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る