モニカとハートマン編 結界
たとえ左前腕を失っても、エレクシアに焦りはなかった。彼女はただ淡々と、自身の役目を果たすことだけを考えていた。
ハートマンやグレイは、彼にとっては<敵>足り得なかった。ただの<邪魔者>だった。
けれど、それ自体がエレクシアの<狙い>だった。
この時点ですでに、彼女自身が<囮>だったのだ。
それは、事前に
そのために、彼女は強力な攻撃を繰り出し続けた。その攻撃が必要だった。これによってさらにデータを得、ハートマンとの連携をより確実なものにするために。
一方、
戦いながら
生物の常識を超えた攻撃方法もそうだが、もしかすると地味に脅威なのは、この学習能力なのかもしれない。なにしろ、エレクシアと最初に鉢合わせた時には一瞬で制圧されたにも拘らず、今ではそれも適わない。エレクシアの動きを学習し、対処してきてるんだ。ロボットは、ロボットであるがゆえに動きが正確だ。その<正確な動き>そのものを読まれると、対処もされてしまう。
もちろん、圧倒的な<速度>の前には、たとえそれが読めたところで普通の生物では対処できないとしても、
後に、エレクシアは言った。
「
「な、なるほど……」
俺はそう応えるしかできなかったが、そんな
しかし、だからと言って出し惜しみをしていて被害を出したのでは何をしているのかそれこそ分からないわけで。
となれば、今はとにかく全力を尽くすしかない。特にハートマンの頑張りは、見ている者に訴えかけるものすらあった気がする。
全身を余すところなく活用して、二本の腕と四本の脚を自在に攻撃に用いる。手加減は一切ない。一撃一撃が、
それを難なく凌ぐ
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