モニカとハートマン編 張子の虎
ちなみに、ハートマンとグレイ、及び二体が従えているドーベルマンMPMには、麻酔銃も装備させている。
ただ、
いずれにせよ、とにかくやってみるしかない。
しかし、ダミー集落N003に配備されていたドーベルマンMPMも、
<電磁パルス攻撃>は新たに施したシールドが効果を発揮、若干の挙動の乱れはあったものの、それ自体は致命的なダメージじゃなかった。なのに、
「許容範囲を大きく上回る過電流を検出」
送られてきたデータを解析したコーネリアス号からの報告をイレーネが読み上げてくれた。
「電磁パルス攻撃が通用しないとなったら今度は、直接、電撃を食らわした…ということか……?」
「おそらくそうだと思われます」
思わず呟いた俺に、イレーネが応えてくれた。
「エレクシア! 到着まで、後どれくらいかかる!?」
「現在、行程の三十パーセントを消化中。逆風により、まだ一時間は掛かるものと推測」
とのことだった。
「一時間……」
呟きながら、俺は、胃の中に鉛の棒でも入れられたかのような重苦しさと痛みを感じてしまう。だが、ここで焦って、
『急いでくれ!!』
と喚いたところでミレニアムファルコン号の性能が爆発的に上がったりはしない。今でも全力で飛んでるんだ。それは分かってる。分かってるが……
「
俺の肩に触れながら声を掛けてくれるシモーヌの気遣いが沁みる。
そうだ。今の時点でやれることはやっている。ここで俺がいくら焦っても声を荒げても、シモーヌや
こういう時には敢えてどっしりと構えているのが<指揮官>の役目なんだろう。上が取り乱せば、現場の士気が下がる。混乱する。
まあ、俺はあくまで<名目上の指揮官>でしかなくて、実際に指揮を取ってるのは
が、張子の虎でも一応はボスだ。みなを不安にさせるのも違うはずだ。
だから、
「
なるべく冷静にそう告げた。
そんな、何の具体的な中身もない素人丸出しの俺の言葉にも、
「ああ、任せてくれ」
と、静かだが力強く応えてくれたのだった。
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