モニカとハートマン編 極端
新暦〇〇三三年十一月六日
こうしてビクキアテグ村で暮らすことになったルコアをモニカが陰から支える。
でも、モニカ以上に『陰から』なのは、ハートマンの方か。
ルコアからも、嫌われてはいないもののモニカよりは距離があり、取り立てて会話もない。ただただ陰ながら彼女を守ってくれてる状態だ。
ロボットだからそういう役回りに対して不平不満をこぼすわけでもないものの、傍から見ている分にはちょっと切なくはある。
いずれルコアもそういう部分に意識が向くようになるとは思うものの、今はまだ子供だからというのもあるか。
子供というのは、自身が関心を抱いているものが自分の視野の範囲内にあれば意外なほどちゃんと見てたりするものの、逆に、自分の目の届かないもの意識の外にあるものについては逆にびっくりするくらいに関心を持たないこともある。
日常的に視界の範囲内にあったはずなのにまるでその存在に気付いてなかったということが、妹の
彼女、敏感肌なこともあって低刺激タイプのシャンプーとリンスを専用に用意されてたんだが、
「シャンプー、なくなった……」
って、裸のままで風呂から出てきて俺に訊いてきたことがあったんだ。でも、そのシャンプーとリンスのストック、脱衣所の洗面台の棚に置いてあって、歯磨きの時なんかには視界に入ってるはずなんだよ。なのに
かと思うと、お気に入りのお菓子のストックが台所の戸棚に置かれているのを、母親がちょっと開けた時に目ざとく見つけて、気付いたら椅子を使って戸棚を開けて勝手に食べてたということもあったり。
興味のあるものへの集中力とないものへの無関心が極端だったりするらしい。
これは、俺の娘の
ルコアにもそういうところがある。
これは決して、『彼女が薄情だから』ということじゃない。事実、ハートマンが自分を守ってくれてることは知ってるし事あるごとに『ありがとう』と礼を言ってたりもするからな。『そういうもの』なんだと思う。
俺なんかは、本質的に臆病者というのもあってか、常に周囲の危険に対して意識を向けてるのもあるんだろう。大人になるにつれ些細な変化にも気付くようになっていったのはある。
俺が生き延びられているのは、エレクシアに守られていたからというもの大きいが、自分で危険を察知することも少なくなかったんだよな。
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