モニカとハートマン編 まるで映画の一シーン

こうして、久利生くりうの提案もあり、<誘導><狙撃><爆殺>の三段構えの対応を取ることになった。


で、そうと決まればのんびりはしていられない。後発として準備中だったドーベルマンMPMに<サーモバリック爆薬>とそれ用の装置を装備させて発進させる。誘導も狙撃も上手くいかなかった場合、上空からサーモバリック爆薬を専用の装置にセットした<サーモバリック爆弾>を投下し、夷嶽いがくを焼き殺すんだ。


ただ、夷嶽いがくそのものを殺すことは避けたいのに加え、巻き添えで関係ない生き物達を死なせるも忍びないので、使わずに済むならそれに越したことはない。


もちろん、『生きるか死ぬか』である以上は、使うとなれば躊躇はしないが。


さらに、電磁加速質量砲レールガンでの狙撃のために、コーネリアス号に装備された三丁すべてを出し、それぞれ、フライトユニットを装備したハートマン、グレイ、ドーベルマンMPMに携行させてやはり発進させた。


ちなみに、ハートマンとグレイは単体でも電磁加速質量砲レールガンを使えるようには設計されてるが、ドーベルマンMPMは一体だけでは運用できないので、二体で使うことになる。射手と観測手とで分担しないとダメなんだ。そもそも、電磁加速質量砲レールガンを運用できるように設計していない。


で、電磁加速質量砲レールガンを垂下したフライトユニットを装備したハートマン達の姿をドーベルマンDK-a号機達が見送るカメラ映像は、なんとも言えない興奮をもたらした。まるで映画の一シーンを見ているかのようだ。


だが、映画のように楽しんではいられない。これは本当に命が懸かった<現実>だからな。


それでいて、準備は実に淡々と進められた。現場にいるのはすべてロボットだし、人間のようにもたついたりしない。ただただ決められたことを決められたとおりにこなすだけだ。


その間にも、<廉価版ドローン>を用いて夷嶽いがくの能力を測る。


結果、基本的な能力はがくと大きく違わないことが確認できた。<銃>を装備している部分が異なるだけだ。


この点、正直言って俺は拍子抜けしていた。みずちからがくへの変化を思うと、『この程度か?』という印象は拭えない。


もちろん、判明していない<能力>を秘めている可能性もあるものの、少なくとも今の時点ではつい侮ってしまいそうになる。


いや、今でもがくは強大な脅威ではあるよ? エレクシアとメイフェアとイレーネが三人がかりでも簡単には退けられなかったのは事実なんだから。とは言え、今回はがくのデータもあってのことだ。


十分に対処できる体制なのも事実だからな。


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