モニカとハートマン編 次善の策
「なるべく倒さずに、こちらから離れるように誘導するというのが基本方針ということでいいんだな?」
「ああ。そうだ。
きっぱりと告げた。それに対して
「僕もその意見には賛成だ。軍という機構は、脅威から市民を守るために機能しているが、だからといって問答無用で攻撃し撃破を目指せばいいというわけじゃない。戦わずして脅威に対処できればそれに越したことはないんだ」
と。これについては俺も本当に助かってる。フィクションなんかだととにかく強硬に脅威を撃破することを主張したりするのが軍人の役どころだったりするものの、現実の軍人はそういうのばかりとは限らない。と言うか、<パワーバランス>というものもれっきとした<戦略>なわけで、『いつでも攻撃できるぞ』というポーズを見せる必要はあっても、それを実行に移すかどうかはまた別の判断だからな。
これをわきまえてないと、軍人がいつでもどんな時でもただひたすら武力を行使することばかりを考えてると誤解するんだろう。
軍隊を毛嫌いする人間にとっては、軍人がそういう<野蛮な奴ら>でいてもらわないと、批判するための根拠が薄れてしまうのかもしれないけどな。
だが、ここのように、紛れもない<命の危険>が身近な場所では、<戦いへの備え>を疎かにするのはそれ自体が自殺行為だ。こちらから仕掛ける必要はなくても、危険に対処しなくていいという道理はない。
そして
「僕としても
「つまり、
と確認する。
「そういうことだ。もちろん、三丁だけでは完全な飽和攻撃にはならないとしても、撃破の確率は跳ね上がるはずだからな」
「分かった。俺も、他にどうしようもない場合でまで撃破に反対する気はないんだ。万が一に備えてということであれば、了承する」
「ありがとう。感謝する」
こうして、誘導が上手くいかずにコーネリアス号に向かうようであれば対処するための<次善の策>についても、準備することになったのだった。
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