当編 当の嫁(仮)
新暦〇〇三三年三月十五日。
そんなわけでルコアのことも気にしつつ、ここからは、
と言うのも、
外見上は間違いなくクロコディアなんだ。クロコディアなんだが、その物腰が、
『らしくない』
気がするんだよ。
まるで、知性と理性を持った<人間>のような……
確信はない。ここまで見守っている範囲内では、
<おとなしいクロコディア>
だと言ってしまえばそう思えなくもない気もするし。
だから、気にはなりながらも、過剰に注視することは避けてきた。何か問題があれば、ドローンやプローブで監視している
なのに、ルコアが現れたことで、改めて余計に気になったんだ。
『人間的すぎる……』
とな。
シモーヌは、
「そう…かな…? 言われてみればそう見えなくもないけど、うん。他にもこんな感じの個体はいたし、私としては<個体差>の範疇かなって思うんだけど」
と、<専門家>として意見を述べてくれる。彼女がそう言うのなら、たぶん、そうなんだろう。俺が素人だから、素人考えで意識してしまっているんだろうなとも思う。
思うんだが、思い過ごしだとは自分でも感じるんだが、まあ、ただの思い過ごしならそれでいいんだが、納得するまでは、念の為に、な。
音声ではルコアとビアンカの様子を窺いつつ、映像では
今の時点では、名前は付けていない。<
なのに、その、<
距離は決して近くない。なるべくストレスを掛けないように、数十メートル離れたところから望遠で見ているだけなんだが。
にも拘らず、そのドローンが自分を監視しているのが分かっているかのように、睨み付けた気がしたんだ。
そう。『気がした』。気がしただけなんだ。本当にたまたま、空を飛んでいるおかしな<何か>が気になって視線を向けただけというのが実際のところかもしれないものの、俺には何らかの<意図>が見て取れてしまったんだよな。
なにしろ、同時に何かを呟くように口が動いたのも見て取れたから。
まるで人間がボやくみたいに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます