按編 偏見
正直、運が良かったと思う。
もし反撃されてピンチになったとしても、
今から思うと、ゾッとしてしまうけどな。俺は危うく、<人間のメンタリティを持った少女>を見殺しにするところだったわけで。いくら
『
と無意識に思い込んでしまって、そこから先の可能性に思いが十分に至らなかった。
その一方で、
人間という生き物の難しさを改めて思い知らされる。
とは言え、人間の言葉をしゃべる子供の姿をしたのがむごたらしく死んでいくというのは、精神衛生上、やっぱりキツいものがあるのもまた事実。加えて、先祖返りを起こして人間の姿で生まれてきた子については、今でも助けられるなら助けようと思ってるし。
ここは素直に助けられてよかったと思っておこう。
ビアンカが少女を抱き上げると、そのヘビのような体をするすると彼女に巻き付けてきた。傍目にはそれこそヘビが獲物を締め上げようとしてる風にも見えたかもしれないものの、後から話を聞くと、まったく力は入っていなかったそうだ。少女にしてみれば普通に抱き付いたつもりだったのかもしれないな。
実際、少女は、ビアンカの胸に縋りつくようにして泣きじゃくっていた。無理もない。途轍もない不安の中にいたんだろうからな。
加えて、『そもそも今の自分の体の使い方が分かっていなかった』というのもあるらしい。
少女を抱いたビアンカがコーネリアス号に向かって歩き出すと、やはり
「
ビアンカが笑顔を向けると、
そう言えば
いくら『敵じゃない』と思っていても、やっぱり、甘えられる相手とそうじゃない相手とは、しっかりと区別しているということか。
でも、それでいい。
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