晴編 逡巡
腹に頭突きを受けて頭が下がったところに下から突き上げるような全力の頭突き。人間なら顎の骨は砕けて下手をすると頚骨まで折れていたかもしれない一撃。
しかし、さすがに相手もマンティアン。一瞬、意識が飛んだようにも見えたがすぐに回復。左のカマで
「ギ…ッ!?」
『マズい……っ!』
俺の背筋に冷たいものが奔り抜けた。
「あ……っ!」
ドローンによる援護を差し向けるか。
それともマンティアンであれば当然の結末をこのまま受け入れるか。
俺の頭の中ではすぐには結論が出せなかった。
だが、そんな俺の見ているタブレットの画面の中に、何かが。
「
「な……っ!?」
若いマンティアンの頭が吹っ飛んだと見紛うばかりのそれに、俺は言葉も出せなかった。
がっちりと首と肩を掴まれていた
さらに
なのに、相手もさすがと言うべきか。人間ならこの時点で意識が断たれていてもおかしくないところを、ザッと地面に両手両足をついて、
こいつ、タフだな。
とは言え、まったくノーダメージというわけではないようだ。
乱入してきたベテランマンティアンが相手では自分が不利だと判断したんだろう。全力での逃走に切り替えたらしい。賢明な選択だな。
一瞬で姿が見えなくなった若いマンティアンを追うことはなく、
「……」
遠ざかっていく大きな背中を、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます